場長室過去記事:職員の皆様どうぞよろしくお願いいたします
職員の皆様どうぞよろしくお願いいたします
令和7年4月1日付けで、北海道立総合研究機構上川農業試験場(道総研上川農試)場長に着任しました、神野(じんの)と申します。
以下は、職員に向けて書いたものです。ですが、せっかくなので、恥を忍びつつ、自己紹介をかねて、オープンなこのページにて公開してしまいます。
後日削除されておりましたら、なにかあったとお察し下さい。
(以下、場内向けです)
4月1日付けで場長の任をいただきました、じんのです。どうぞよろしくお願いいたします。
上川農試での勤務は20年ぶりとなります。懐かしさを感じながらも、全く異なる役割でこの場にいることにただならぬ緊張を感じております。緊張で眠れない夜があるのだと、昨夜新しい自分を発見しました。立場が人をつくる、という言葉をまずは信じたいと思います。
さて、場長という役割をいただいたので、少しエラそうなことを言わなければならないと、何か良い言葉はないかと、すがる思いで本をめくりました。
「組織はリーダーの力量以上には伸びない」という原則論がある。(野村克也『野村ノート』P141、小学館文庫)
読まなければ良かった。ひどい汗が流れました。
場長室に、歴代場長の写真が飾ってあります。このなかに、私にとって特に印象深い方が、おふたりいらっしゃいます。長内俊一さんと、相馬暁さんです。
ああ、力量の大きなリーダーだ。
長内俊一さんは、昭和55年に始まった水稲品種向上プロジェクトの立ち上げに尽力された方です。この研究が、その後の「きらら397」や「ゆめぴりか」など良食味品種の育成を可能としました。現在に至る品種改良を方向づけた非常に重要な分岐点だったといえます。
相馬暁さんは、北海道が進むべき方向性として、環境と調和した「クリーン農業」を提示し、実際に試験研究を先導しました。30年以上も前のことです。上川農試だけでなく、北海道農業の大きな方向を示したと言えます。
研究の大きな方向付け、ターニングポイントとなった時期に在籍した二人の場長の存在感が、大きく感じられます。
「組織はリーダーの力量以上には伸びない。」
やっぱり読まなければ良かった、とは思わないようにします。この言葉は肝に銘じておきます。
おそらく、長内さんや相馬さんが先頭に立ったときにも、研究実務を担当する方々の間では類似した考え方が少なからずあったのではないかと想像します。その上で、責任を持つ立場から大きな判断を行ってきた、そういう側面があったのでしょう。そうに違いありません。
何が言いたいかというと、私ひとりで何かができるわけではありません。ちょいちょい各部屋でお話を伺ったり、立ち話で呼び止めたり、作業にこっそり参加したりすると思います、その際は邪険にせずによろしくお願いします。
私のことはさておき、試験研究や研究支援の実務を担う主役は、職員の皆さんひとりひとりです。試験成果を実際に送り出してきたのは、頭と体を駆使した研究員であり研究支援部門の職員みなさんです。
上川農試には、要所要所にたいへん力のあるスタッフ、意欲の高い若手中堅職員、堅実な実力派職員と、非常に頼もしい魅力的な方々がそろっていると感じます。ここは自信をもって言えます。
寡黙だけど知識と経験が半端なく専門分野のことを聞いたら何でも出てくる方々、作業着のズボンに手ぬぐいをぶら下げた用務員のおじさん風の見た目でありながら実は土壌分野をしょって立つ英語ペラペラな農学博士、実績はすごいのに自分のことはほとんど語らず黙々と目の前の業務を討ち取っていく侍系、どんなに忙しくても現場からの相談を優先し丁寧に対応する内面アニキ系、仕事だけでは飽き足らずプライベートでも新種を探し歩く虫沼の住人、チコちゃん解説員、ひとりずつ農試以外の方々にアピールしたい気持ちです。
すみません、余計なことを言いました。
私としては、みなさんの取り組みや発想を後押ししながら、よりよい示し方がないか、といった提案を考えていきたいと思います。
場としては、先達の業績や理念を継続しながら、新しいことにチャレンジしていく組織でありたいと考えています。特に、直近の課題として、技術的な視点では、気候変動と労働力不足への対応、二つの大きなテーマがあります。
難しいこと、困ったことは一緒に悩んでいきたいと思います。
安全で、真摯で、なにより楽しい姿を、上司から見せられるよう、努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。