場長室過去記事:20250516
2025.5.16 「黄色い誘惑」
一般に、黄色と黒は、注意を喚起する色とされます。踏み切りしかり、交通標識しかり、刑事ドラマの立ち入り禁止テープしかり。
一方、わたくしどもの業界では、黄色は虫よせの色、を意味する場合があります。
上の写真、中央にある黄色い物体は、害虫試験担当が設置した捕虫器です。中に入り込んだ虫を経時的に調べ、作物に被害を与える害虫が、いつごろ、どれくらい発生しているか、を調査しています。ちなみに、奥の植物(実はこまつなの成長した姿)にも黄色い花が咲いているのが見えると思います。
農業害虫は黄色に引き寄せられるものが少なくなく、これは花の色に黄色が多いことと関係しているそうです。厳密には、人間の可視光としての色ではなく、虫が判別できる特定波長でのコントラストを見ているらしいです(このあたりは、日高敏隆さんの著書がわかりやすい)。
就職して間もない頃、この話を知ってから、試験畑に出るときは黄色系の服を着ないようにしていました。黄色を身にまとった自分が、大事な畑に害虫を引き寄せてしまってはいけないと思っていました。我ながら、けなげだったと思います。
あとから、私の担当作物では黄色に寄る虫の害はほとんどなく、まして広い畑を歩き回る作業者の服が黄色い程度では何も気にする必要がない、と知りました。勝手な思い込みは良くないという学びを得ました。
さて、黄色と逆の効果を示す色もあります。銀色です。
銀色でキラキラしている場所には、飛んできた虫の着陸が少ないそうです。銀色は、虫にとって、空の色と見分けがつきにくいのではないかといわれています。
確かに、虫"よけ"をうたった資材はキラキラしたものが多いなあ。
そうか、畑に出る服は、銀色が良いんだ(そういうことではない)。