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上川農業試験場

場長室過去記事:20250702葉っぱの温度

2025.7.2 葉っぱの温度

7月ですね。暑い日が続いています。

暑い日には、日差しを受けた石ころやアスファルトはかなりの高温となりますが、その一方で、作物の葉っぱは触るとひんやりして感じます。

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麦の葉でひんやり

※植物は全般に同様の傾向があると思いますが、鋭いトゲをもつもの(アザミやイラクサのなかまなど)や、皮膚の炎症がおこりやすいもの(ウルシなど)もあります。なじみの少ない植物には不用意に触らない方が良い場合がありますので、ご注意ください。

 

植物は、根から吸った水を、葉っぱの気孔という穴から水蒸気として放出することで、体の温度が上がりすぎないように調節しています。この機能を「蒸散」(じょうさん)と呼びます。ていねいに言うと「おじょうさん」です(ウソです、そんな言い方はしません)。

 

気温が高い日には、植物は活発に蒸散を行って体温調節する。

という、中学の理科で習った知識を、大人になってずいぶん経ってから体感しています。

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ばれいしょ(ジャガイモ)の葉でひんやり

葉っぱに触れる指先が心地よいです。ただし、植物にはあまり良くないと思うので、長時間触らないようにしています。なにごともほどほどが肝心。

 

さて、蒸散は光合成とも関係があります。適度な温度であれば、蒸散量(放出される水蒸気の量)が多いほど光合成が活発となります。

この理屈を応用し、植物体(葉っぱを含む群落表面)の温度を測ることで、温度が低い=光合成が活発=収穫量が多い品種を選ぶ、という取り組みが試験的に行われています(文献【英語】和文要約はこちら)。当場でも試していますが、作物の種類や栽培環境によってずいぶん違いがあるようで、まだまだ試行錯誤の段階です。

 

 

 

話がそれました。

暑い日でも葉っぱはひんやりしている。このことに気づいてから、しばしば葉っぱの上でカエルを見かけることに合点がいくようになりました。

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色が目立ってしまうのに(ナス)

 

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もっと座りごこちの良いところがありそうなのに(水稲)

 

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日陰ですらないのに(ばれいしょ)

なぜその場所に居るのか。

人間でいえば、フローリングの冷たい場所を探して横になっているような状態かもしれません。そう思うと急に親近感がわいてきました。

 

 

ひとこと付け加えるなら、調査のため生い茂る作物に分け入ったとき、不意にカエルが飛び出してくるのは、心臓に良くないです。カエルの飛び出しと自分の声で2度びっくりします。とくに大豆とばれいしょは要注意です。

 

 

 

 

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