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北見農業試験場

麦類畑作グループ(麦類育種)


 

 
麦類畑作グループ
 

□麦類畑作(麦類)

1.秋まき小麦および春まき小麦の新品種育成試験


 

   1926年から、北海道に適した秋まき小麦および春まき小麦の育種を行っており、強稈、多収、耐穂発芽性、耐病性が強く、生産者が作りやすい小麦を目指して育種を進めています。

 

<秋まき小麦>

  北海道の秋まき小麦の用途は日本めん用(うどん用)が主流で、これまでに「チホクコムギ」「ホクシン」「きたもえ」「きたほなみ」といった品種を育成してきました。

しかし、近年、パン・中華めん用や菓子用の要望も大きいことから、これらの育種にも取り組んでいます。

  2006年に育成した秋まき小麦新品種「きたほなみ」は、原粒灰分が低く製粉性に優れ、小麦粉の色や製めん適性にも優れることから、北海道産小麦のさらなる品質・生産の安定性向上や生産コストの低減に貢献できると期待しています。

さらに2012年に中華めん適性に優れる「つるきち」を、2020年に菓子用の「北見95号」を育成しました。

 

<春まき小麦>

  北海道の春まき小麦の用途はパン用で、製パン適性が優れていることが育種目標であり、これまでに、「ハルユタカ」、「春のあけぼの」、「はるひので」などの品種を育成してきました。
2007年には、耐穂発芽性に優れ、赤かび病のカビ毒汚染が少なく、製パン性に優れる春まき小麦新品種「はるきらり」を育成しました。


 


 


 

 

 
広大な試験圃場
 
 交配の様子
 
小麦の種子
 


 


 

2.製めん適性および製パン適性の改良のための品質分析


 

   製めん適性、製パン適性等の改良のために、1年間で約5,000の材料を製粉、分析を行っています。分析は製粉性や成分特性(灰分含量、蛋白含量、粉色、グルテンの量や質、アミロース含有率など)、生地特性(ファリノグラム、ミキソグラム、エキステンソグラフなど)の広い範囲にわたり、最終的には実際にパン、麺(うどん、中華めん)、菓子(スポンジケーキ)を作って評価しています。


 


 

 

 
 パン試験 
 
うどん試験
 
 スポンジケーキ試験
 

 

 

3.二条大麦の地域適応性検定


 

   北見農試では、1954年から1961年まで大麦育種指定試験地、その後北見農試普通作物科、作物科、畑作園芸科にて春まき大麦の育種を行ってきました。2006年からは組織再編により大麦試験が麦類科の担当となりましたが、育種事業は2007年で終了いたしました。

 現在は、麦類畑作グループでビール醸造用二条大麦の有望系統について、網走地域における適応性検定を行っています。1989年に育成した二条大麦品種「りょうふう」は、それまでの主力品種「ほしまさり」に比べ耐倒伏性、醸造品質に優れたことから、北海道での主力品種となりました。 2017年には、サッポロビール社が育成した「札育2号」が優良品種に認定されました。「札育2号」は、戻し交配によって「りょうふう」にリポキシゲナーゼ欠失遺伝子を付与した品種で、ビール製造時の香りが長持ちする効果が期待でき、2019年から「りょうふう」の大部分に置き換わって栽培されています。


 


 

                                二条大麦の圃場


 


 


 

4.北見農試で育成した麦類の品種
 


 


品種名


 


 

育成
年度


 


 

主要特性
(対象品種との比較)


 


 

現時点での欠点
 


 


 

種類


 

育成時系統名と成績概要書など
ハルヒカリ昭40製パン性良、耐穂発芽 (作付けなし)春まき小麦 パン用北見春2号
ムカコムギ昭44良質、多収 (作付けなし)秋まき小麦北見11号
ハルミノリ昭44強稈、多収 (作付けなし)春まき小麦 パン用北見春17号
ほしまさり昭47多収、良質 (作付けなし)春まき大麦 醸造用訓系16号
ホロシリコムギ昭49強稈、安定性、多収一般製めん用として不向き秋まき小麦 多用途用北見23号
タクネコムギ昭49早生、高蛋白耐倒伏性、低収秋まき小麦 醸造用北見30号
チホクコムギ昭56製めん性良、多収 (作付けなし)秋まき小麦 めん用北見42号
ハルユタカ昭61短強稈、多収、製粉性良製パン性、耐穂発芽性春まき小麦 パン用北見春47号
あおみのり昭62多収、雑草との競合力強 (作付けなし)春まき大麦 飼料用北育18号
りょうふう平元短稈、麦芽品質良網斑病抵抗性がやや劣る春まき大麦 醸造用北育19号
タイセツコムギ平2製粉性、粉色良、耐雪性 (作付けなし)秋まき小麦 めん用北見61号
春のあけぼの平5製パン性やや良 (作付けなし)春まき小麦 パン用北見春53号
ホクシン平7やや早生多収、耐病性、製めん性良耐穂発芽性不十分、コムギ縞萎縮病に弱い秋まき小麦 めん用北見66号
きたもえ平13縞萎縮病・耐穂発芽やや難、粉色良 (作付けなし)秋まき小麦 めん用北見72号
はるひので平13製パン性良 (作付けなし)春まき小麦 パン用北見春59号
きたほなみ平18製めん性良、製粉性良、粉色良、多収コムギ縞萎縮病にやや弱い秋まき小麦 めん用北見81号
[パンフレット等]
はるきらり平19穂発芽性“難”、DON汚染少ない、多収、千粒重大、製パン性良粗蛋白含量やや少ない、成熟期やや遅い春まき小麦 パン用北見春67号
[パンフレット等]
きたさちほ平23縞萎縮病、耐穂発芽、製めん性良(作付けなし)秋まき小麦 めん用北見83号
[パンフレット等]
つるきち平24中華めん適性良低収秋まき小麦 中華めん用北見85号
[パンフレット等]
北見95号令2菓子適性良品種登録出願中秋まき小麦 菓子用北見95号
[パンフレット等]
 


 

5.麦類畑作(麦類)グループ関連ページ

過去の関連成果 

※北見農試全体はこちら[新品種と関連の成果][最近の新技術・試験成果]

<栽培法>

・小麦の子実灰分の実態とその変動要因 [成績概要]

・パン用春まき小麦「はるきらり(北見春67号)」の高品質安定栽培法 [成績概要] 

・めん用秋まき小麦「きたほなみ」の高品質安定栽培法 [成績概要] 

・秋まき小麦「きたほなみ」の生産実績を活用した窒素施肥設計法と生育管理ツール[成績概要パンフレット]

・秋まき小麦「ゆめちから」の高品質安定栽培法[成績概要パンフレット]

・硬質秋まき小麦「つるきち」の高品質安定栽培法[成績概要パンフレット]

・秋まき小麦「きたほなみ」の気象変動に対応した窒素施肥管理[成績概要パンフレット]

・秋まき小麦「きたほなみ」の気象変動に対応した窒素施肥管理(補遺)[成績概要パンフレット

 <育種法など>

・近赤外分光法による小麦粉吸水率の簡易・迅速評価[成績概要]

・菓子加工適性評価のためのスポンジケーキのテクスチャー測定法[成績概要]

・二条大麦新品種候補「札育2号」の概要[成績概要]

・秋まき小麦準同質遺伝子系統を用いた赤かび病抵抗性QTLの効果検証 [成績概要]

・赤かび病抵抗性DNAマーカーの有効性検証と春まき小麦抵抗性系統開発 [成績概要]

・機器測定による中華めんの硬さおよび色の評価法 [成績概要]

・小麦品質関連遺伝子型を判別するDNAマーカー [成績概要]


 


・定期作況報告 (全道 北見農試)

北海道の麦づくり (北海道米麦改良協会)

 


 


麦類畑作グル-プ(麦類) 電話番号:0157-47-3806 、 0157-47-2158 (直通)


 

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