生産技術グループ(栽培環境)
オホーツク地域の主要な畑作物、野菜、飼料作物を対象に、環境への影響に配慮しながら高品質な農産物を持続的に生産するための土壌および施肥管理技術の開発を行っています。また、新しい肥料・土壌改良資材の実用化、基盤整備のための土壌調査にも取り組んでいます。
試験・調査の概要
1.省力低コスト・安定生産に関する技術の開発
肥料価格高騰と養分収支を考慮した直播てんさいとたまねぎに対する適正施肥量の確立(令和6~7年度)
北海道の主要作物のなかでもリン酸とカリの施肥量が比較的多い直播てんさいとたまねぎを対象に、収益性を低下させることなく、かつ圃場の生産性を持続するための適正施肥量を明らかにします。
春まき小麦における肥料価格変動に応じた適正施肥量の設定(令和5~6年度)
春まき小麦を対象に、収益性確保の観点に基づいたリン酸およびカリの適正施肥量を明らかにします。
畑作物に対する肥効調節型肥料の施用効果試験(令和4~6年度)
肥効調節型肥料は施肥の省力化に有効で多くの作物で活用されていますが、プラスチック等を素材とした被覆肥料の被膜殻が生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。畑地において、プラスチックを使用しない化学合成緩効性肥料および硝酸化成抑制剤入り肥料の窒素溶出特性を明らかにし、秋まき小麦・ばれいしょ・てんさいに対しプラスチック被覆肥料と同等の収量が得られる代替肥料を明らかにします。
リモートセンシングと圃場情報を活用した干湿害多発農地の診断手法の開発(令和3~6年度)
リモートセンシングによる土壌状態に関する情報と、実際の圃場で観察される情報(生育、地形等)を活用し、干湿害対策の要否を判定し、将来的にはリモートセンシングのみで適切な工法を選択するための診断手法の開発をめざします。
2.生産基盤・農村環境に関する調査
農地土壌炭素貯留等基礎調査事業(農地管理実態調査)(令和6年度~)
大気中の二酸化炭素濃度の上昇による地球温暖化が懸念されています。土壌は大気に比べ多くの炭素を貯留しますが、土壌微生物による呼吸等で二酸化炭素を放出します。本調査は全国規模で実施され、営農管理と、農耕地における土壌炭素貯留量の経時的な把握を行います。得られたデータは将来的な地域温暖化対策の取り組みに向けた基礎資料として活用されています。
環境保全型有機質資源施用基準の設定調査(土壌機能実態モニタリング調査)(平成10年度~)
本調査の前身であり、全国規模で1947年に開始された土壌保全事業では、土壌図の作成をはじめ、その時々の農業施策を支える基礎データを提供してきました。同一地点の土壌調査を4年毎に実施し、農耕地土壌の理化学性の実態と変化の方向を明らかにします。得られた結果は農耕地の適正な管理および土壌肥沃度の維持に役立てられています。
道営農業農村整備事業等に係る土壌調査(昭和40年度~)
道営農業農村整備事業は一般に土地改良事業と呼ばれるもので、生産現場からの申請により事業計画が立てられて工事が進められます。本調査では事業の実施主体である北海道からの依頼を受け、事業計画地区の土壌を調査・分析し、望ましい改良策を提示しています。また、今後の事業計画に役立てるために基盤整備実施後の土壌環境の変化を評価する調査についても実施しています。
3.作物の診断に関する調査
生理障害診断試験(農作物病害虫生理障害・緊急対策試験)(令和2年度~)
生産現場から持ち込まれる病害虫や被害作物の診断を実施し、対応策を提示します。栽培環境部門では、生理障害の原因(土壌、施肥(作物の要素欠乏・過剰)、気象等)を診断し、被害を最小限にとどめる方法を提示します。
4.新農業資材の実用化試験
新しい肥料や土壌改良資材について、作物の生育および収量に対する効果を明らかにします。
5.最近の成果
最近の主な成果を紹介します。年次は成果が公表された年です(「令和5年」の場合は「令和4年度」)。
施肥法関係
1)畑作物
・植物成長調整剤を用いた春まき小麦「春よ恋」の高品質多収栽培技術(令和4年) 概要書ポスター
・秋まき小麦「きたほなみ」の気象変動に対応した窒素施肥管理(令和2年) 概要書ポスター
・肥効調節型肥料を用いた秋まき小麦の全量基肥施用法(平成30年) 概要書ポスター
・畑作物に対する苦土質肥料「軽焼マグネシウム」の肥効評価(平成30年) 概要書
・硬質秋まき小麦「つるきち」の高品質安定栽培法(平成29年)概要書ポスター
2)園芸作物
・移植たまねぎにおける窒素動態と土壌診断に基づく窒素分施技術(令和5年) 概要書
・移植たまねぎに対する肥効調節型肥料を用いた分施省略技術(令和4年) 概要書
・移植たまねぎ安定生産のための窒素分施技術(平成28年) 概要書ポスター
・たまねぎ直播栽培における収量安定化方策(平成28年) 概要書
3)飼料作物
・播種後の気象推移に対応した飼料用とうもろこしの窒素分施対応(令和2年) 概要書ポスター
・土壌診断による飼料用とうもろこしの窒素施肥対応(平成29年) 概要書ポスター
・飼料用とうもろこしに対する加里質肥料「塩化加里」の施用効果(令和1年) 概要書ポスター
栽培法関係(施肥以外)
・早期出荷向けたまねぎの収穫前進技術(令和3年) 概要書
・オホーツク地域におけるたまねぎ早期出荷向け品種の特性(令和2年) 概要書
・たまねぎ「ゆめせんか」の加工特性と安定栽培法(平成29年) 概要書ポスター
土壌・圃場管理関係
・土壌凍結深制御技術の適用拡大と技術体系化(令和2年) 概要書ポスター
・土壌凍結深制御技術による畑地の生産性向上(平成30年) 概要書ポスター
・北海道耕地土壌の理化学性(1959~2019年)と炭素貯留量(2016~2019年)(令和3年) 概要書
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