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根釧農試 研究通信 第11号 2002年3月

新しい牧草の品種と機械


 



 民間会社からの委託を受け、適応性を調査した試験結果の中から、根釧地域を対象に含む平成13年度普及奨励事項になったものを紹介します。

1.メドウフェスクの新品種
  「PRADEL」 

 メドウフェスクは越冬性がチモシーの次に強く、また放牧条件下でチモシーより夏以降の生産量が多いので、道東地域での放牧用草種として利用できます。「PRADEL」は「ハルサカエ」と比べて夏に105%、秋に111%取れる多収品種です。

 利用にあたっては、「ハルサカエ」と同様、秋の強度の放牧は避けましょう。種子供給は平成15年度からの予定です。


2.チモシーの新品種
  「SB-T-9502」

 出穂始が「ノサップ」より2日早い、早生の採草用品種です。「ノサップ」より多収で、特に2番草の収量が多い品種です。

 また、1番草の倒伏が「ノサップ」より少ないのが特長です。種子供給は平成16年からの予定です。


  「SB-T-9504」 
 出穂始が「ホクシュウ」と同日の、晩生の採草用品種です。収量は「ホクシュウ」並みですが、斑点病には「ホクシュウ」よりやや強いです。また、競合力の比較的穏やかなアカクローバー品種との混播適性は「ホクシュウ」よりやや優れ、抑圧されにくいのが大きな特長です。

 種子供給は平成18年からの予定です。


3.オーチャードグラスの新品種 「SB-O-9504」 

 出穂始が「オカミドリ」より2日遅い、晩生の採草用品種です。収量は「オカミドリ」より4%多く、また、すじ葉枯病や黒さび病に強いのが特長です。

 根釧地域では草種の特長として冬枯れしやすいので、これまで被害の少なかった圃場以外には利用しない方が無難でしょう。種子供給は平成16年からの予定です。 


4.新しい品種 ガレガ「Gale」  

 北ヨーロッパのエストニアから導入された「Gale」は、ガレガという牧草の品種名です。ガレガは、地下茎で越冬、増殖するマメ科牧草で、永続性に非常に優れるといわれています。

 播種後3ヶ年の合計収量はアルファルファより少ないですが、年次を重ねるごとに増収する傾向がみられ、3年目の収量は2年目の1.5倍となります。アルファルファの栽培利用法に準じて栽培できますが、9月から10月上旬にかけての刈り取りが翌年の生育に及ぼす悪影響はアルファルファより大きいので注意が必要です。 

 播種後の初期成育は非常に緩慢であるため、特に根釧地域では定着がむずかしいことがわかっており、定着率を高める栽培法の確立が今後の課題になっています。


新しい農業機械(畜産関係) 
1.テレハンドラ JD-3200

 供試機はアーム部分が直線的に伸縮するテレスコピックアームを装備したテレハンドラです。エンジン出力は100PSで最高速度は時速35kmとなっています。

 アームにアタッチメントを装着してベールの運搬や堆肥の切り返しができます。アームは2.76~4.27mの範囲で伸縮します。バケット取り付け部分における揚力は、アームを縮めた状態で3,210kgfで、けん引力は、3,259kgfでした。堆肥舎内の堆肥をすくい上げてトレーラに積み込む作業での堆肥積み込み作業能率は1時間あたり平均54.1t/hでした。


2.フォレージハーベスタ JD6850(チャンピオン6000付き) 

 供試機は8条刈りのロータリロークロップヘッダを装着した自走式フォレージハーベスタで、エンジン出力は480PSです。ヘッダ部の刈り幅は6.0m、折りたたみ時の幅は3.0mになります。1時間あたりの乾物処理量は作業速度1.46~2.15m/sでは39.8~59.0t/hでした。平均作業速度2.32m/sで伴車者への積み込み方式で作業すると、待機時間を除いた全作業時間は14.8分で、毎時処理量100.7t/h(22.3DMt/h)でした。

 伴車者1台での作業であったため、計算上、作業能率は16ha/hとなります。


3.フォレージハーベスタ JAG900(RU600付き) 

 供試機は8条刈りのロータリロークロップヘッダを装着した自走式フォレージハーベスタで、エンジン出力は605馬力です。ヘッダ部の刈り幅は6.0m、折りたたみ時の幅は3.0mになります。1時間あたりの乾物処理量は作業速度2.25~2.84m/sでは42.9~104.9t/hでした。平均作業速度2.64m/sでテッピングワゴン牽引方式で作業すると、調整時間を除いた場合の全作業時間は44.0分で、毎時処理量は100.4t/h(22.7DMt/h)でした。

 テッピングワゴンからトラックへの受け渡し時間があるため作業能率は2.18ha/hでした。

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