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酪農試験場

地域に合った新品種

新品種のご紹介     ~It must be good for your field and cow!!~

2011年4月19日更新

ここでは、根釧地域におすすめできる牧草やとうもろこしの「北海道優良品種」を比較的新しいものから選んでご紹介します。
あなたの圃場にあった草種、品種を選んで、おいしい草を上手に収穫しましょう。
Gめーる混播組合せも参考としてください。
注意! ここに掲載できなかった優良品種もたくさんあります。実際の利用に当たっては、
各農場の実態に合うよう、農協や農業改良普及センターとよく相談しましょう。



採草地向け草種 放牧用(採草兼用含む)向け草種
かせぎ頭のイネ科牧草 バランスのとれるマメ科牧草 おいしいイネ科牧草 マメ科牧草
永続性ならチモシー 多収なアカクローバ 長持ちするシロクローバ 注目のアルファルファ うまく使えばチモシー 期待のメドウフェスク 放牧といえばシロクローバ
極早生から晩生まで選べる 混播適性がポイント 混播適性がポイント 初年目の管理がポイント 品種特性を活かして 夏以降の生産良好 混播適性がポイント
とうもろこし(サイレージ用)
なるべく早生で、でもたくさん獲れるのがポイント



チモシー

「なつさかり」
採草向け晩生品種です。これまでチモシーの晩生品種(ホクシュウ)はもっぱら放牧向けに用いられていましたが、ホクシュウの欠点であった、開帳型の草姿を改善し、大きく伸ばしても倒れにくくなっています。もちろん、放牧にも使えます。採草利用時の出穂始は7月上旬です。

「ホライズン」
雪印種苗育成の早生品種です。早生品種としては多収なのが特長です。出穂始は6月中旬です。

「キリタップ」
良質、多収な中生品種です!
1番草の出穂始は、現在の基幹品種、早生の「ノサップ」より10日遅いので、うまく組み合わせると刈り取り作業が大変効率的になり、適期をのがしにくい!草型は直立型で、マメ科牧草との競合にも強く、年次を経るとチモシーの割合が増える傾向があります。採草用にも放牧用にも使えます。出穂始は7月上旬です。

「アッケシ」
耐病性に優れた中生多収品種です!
1番草の出穂始は、「ノサップ」より4日遅い、中生の品種です。根釧地域で多く発生する斑点病に対する抵抗性が大変強く、茎数の多い多収品種です。出穂始は6月下旬です。

「ホクシュウ」
遠くの圃場に最適、遅く刈れる晩生品種です!
1番草の出穂始は、早生品種より2週間ほど遅いので、刈り取り適期をのがしにくいのです。栄養生長期間(茎や葉を伸ばし続ける期間)が長いので、うまくコントロールすると放牧地にも使えます。出穂始は7月10日前後。

「オーロラ」
倒伏に強い早生品種です!
収量性など多くの特徴は「ノサップ」とほぼ同程度ですが、とにかく倒伏に強い品種です。出穂始は6月下旬。


「ノサップ」
登場したのは昭和52年と、ちょっと古い早生品種です。北海道では使いやすい熟期だったことから大ヒットし、その後もロングセラーとなっています。

「クンプウ」
多収な極早生品種です!
草型は直立しており、生育も早いので、マメ科牧草との混播適性に優れています。出穂始は早生品種より1週間程度早いので、刈り取り作業の効率化、良質飼料の生産に威力を発揮します。出穂始は6月中旬。



アカクローバ

「アレス」
晩生の品種です。再生が非常に穏やかなので、チモシーの中生品種に最適です。

「ナツユウ」
早生の品種です。「ホクセキ」の特長を伸ばした品種です。「ホクセキ」より競合力が穏やかなので、チモシーとの組合せ管理がしやすくなっています。

「ホクセキ」
永続性を改善、多収かつ混播適性に優れた品種です!
普通アカクローバは播種後3年もすると個体数が減少しますが、「ホクセキ」はもう少し長持ちします。また、再生が穏やかなので、チモシーなどイネ科牧草を抑圧しにくくなっています。

「クラノ」
混播適性に優れた、生育の穏やかな品種です!
収量は「ホクセキ」より少ないのですが、チモシーの「キリタップ」や「ホクシュウ」など、生育の遅いイネ科牧草との組み合わせに最適です。



シロクローバ

「リースリング」
中葉型品種ですが、大葉型品種並の競合力を持っています。オーチャードグラス主体採草地などに適しています。

「リベンデル」
混播適性に優れた小葉型品種です!
チモシー品種「キリタップ」、「ホクシュウ」などとの組み合わせに最適です。越冬性は既存品種と遜色無く、チモシー基幹放牧地の混播相手として理想的です。

「ソーニャ」
収量性と混播適性の両立を目指した中葉型品種です!
チモシーやメドウフェスク基幹放牧地での混播相手として利用できます。

「ルナメイ」
多収な大葉型品種です!
オーチャードグラスなど生育の旺盛なイネ科牧草との混播に最適です。既存の大葉型品種「カリフォルニアラジノ」に比べ、収量は同程度、越冬性には優れています。夏以降の生育が特に緩慢なチモシー中生・晩生品種との組み合わせは、イネ科牧草が消えてしまうので避けてください。



アルファルファ

「ハルワカバ」
土壌凍結地帯での越冬性に優れた品種です。草型がやや開帳型なのが特徴です。

「ケレス(SBA-9801)」
雪印種苗が育成した、多収でそばかす病に強い傾向の品種です。

「ヒサワカバ」
越冬性、耐病性に優れた品種です!
夏以降に多く発生するそばかす病に強く、越冬性にも比較的優れている品種です。



メドウフェスク

「まきばさかえ」
根釧農試と北農研センターが共同育成した道東での放牧向け多収品種です。雪腐病にかなり強く、越冬性に優れるのが大きな特徴です。春季および秋季の収量が「ハルサカエ」より多くなっています。種子の流通販売はH25からが予定されています。

「プラデール」
放牧向けの多収な品種です。放牧に適した特徴として、夏以降の生産性に優れています。

「ハルサカエ」
根釧地域での放牧に使える、多収な品種です!
メドウフェスクは、オーチャードグラスより越冬性に優れており、夏以降の生育・再生がチモシーより良好です。マメ科牧草との混播適性にも優れています。家畜の嗜好性も高く、ペレニアルライグラスの栽培できないこの地域では、その代用草種として利用できます。チモシーと混播すると、生育特性が異なるため、どちらかの草種が消えてしまうので注意が必要です。




とうもろこし(サイレージ用)

「KD301」
販売元のカタログでは、RM80日相当とされています。収量性はチベリウス並なのですが、雌穂の割合が高く、また収穫時熟度はチベリウスと比べて並かやや良好です。

「たちぴりか(北交66号)」
根釧農試と北農研センターが共同育成した品種です。RMは75~80日相当とみています。収量はクウィスやデュカスより少ないのですが、雌穂の割合は最高レベルになっています。特長は、倒伏に非常に強いこと、すす紋病に非常に強いことです。

「クウィス」
販売元のカタログでは、RM73日相当とされています。極早生で、収穫時の乾物率は他の品種より高いです。収量はこの熟期の品種としては多いですが、「デュカス」などもう少し遅い品種よりは少ないです。寒冷地で、安定を求めるなら、こうした極早生がお奨めです。除草剤「ワンホープ」に感受性とされていますので、注意が必要です。

「デュカス」
販売元のカタログでは、RM80日相当とされています。絹糸抽出期はRM75日クラスの標準品種「エマ」より遅いのですが、収穫時の総体乾物率は「エマ」より高い品種です。根釧地域では、気象条件の良好な場所なら、多少の冷害年でも露地で収量を確保できると考えられます。露地栽培を前提とし、冷害の危険を想定した場合、この地域にぴったり合った品種、とは言い難いのですが、早生性、収量性などの総合能力は高いといえます。倒伏にも強いのが特長です。ただし、すす紋病に弱いので、連作畑での作付けは避けてください。