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畜産試験場

平成16年度研究成果

平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題

畜産試験場関係

課題名 判定 セールスポイント 成績の要約
全きょうだい牛および受精卵クローン牛を用いた黒毛和種種雄牛の検定法 行政参考 黒毛和種種雄牛作出の一次選抜法として、2分離胚由来産子を用いたシステムが有効である。 2分離胚由来の一卵生双子の1頭(別の1頭が候補牛)ときょうだい牛の肥育成績で、黒毛和種種雄牛の産肉能力を推定する検定法は、作出する候補牛が登録可能で、期待される遺伝的改良量が高いことから、現状において最も優れた一次選抜システムである
牛の枝肉形質と抗病性に関与する遺伝子領域の解析 研究参考 牛の枝肉形質、小型ピロプラズマ病および乳房炎の抵抗性に関与する遺伝子領域を同定した。 黒毛和種の枝肉形質に関与する遺伝子領域を同定し、特に脂肪交雑に関与する遺伝子領域は19と21番染色体上にあることを示した。また小型ピロプラズマ病と乳房炎抵抗性に関与する遺伝子領域も同定し、乳房炎抵抗性遺伝子の一つを明らかにした。
イモ皮主体サイレージおよびとうもろこしサイレージを活用した乳用種去勢牛の肥育技術 普及推進 イモ皮主体サイレージおよびとうもろこしサイレージを活用した乳用種去勢牛の肥育技術を提示した。 乳用種去勢牛にイモ皮主体サイレージまたはとうもろこしサイレージを濃厚飼料TDNの20%代替して給与する肥育方法は、道内で一般的な濃厚飼料多給型肥育と同等の牛肉生産が可能であり、自給率の向上、飼料費の節減も図られる。
SPF繁殖豚の育成・妊娠期における飼料給与基準 普及推進 SPF繁殖雌豚の育成期と妊娠期における適正発育量とそれに応じた飼料給与量を明らかにした。 SPF条件下の繁殖雌豚は、初回交配時体重の目標を 140~150kgとし、そのための飼料給与量は育成前期2.0~2.2kg/日、後期2.2~2.4kg/日とする、2産目妊娠期では母豚のみの目標増体量を25kgとし、飼料給与量を2.2kg/日とする。また、授乳期初期からの飼料多給は子豚の発育向上等に有効である。
畜産施設におけるライムケーキコンクリート舗装の実用性 指導参考 産業廃棄物を活用したライムケーキコンクリート舗装パドックは乳牛の利用性が高い 精糖工場からの産業廃棄物であるライムケ-キを用いたコンクリート舗装は、通常コンクリート舗装に比べて保温性が高く、衝撃に対する反発力が小さいことから、畜産用舗装材として有効である。
乳用雄肥育牛における内蔵廃棄低減のための指針 普及推進 食肉検査時における内蔵廃棄低減のための飼養管理上の総合的な指針を示した 乳用雄肥育牛の内臓廃棄は体重のバラツキが大きい牛群で多く、発育期に応じた粗飼料給与と、粗飼料を十分摂取するための飼槽幅確保の重要性を示した。また、再生敷料利用の場合、寄生虫性肝炎低減のため、敷料の十分な発酵が重要である。
黒毛和種牛の初乳成分と子牛への初乳給与法 普及推進 黒毛和種牛初乳の特徴を明らかにするとともに、子牛への初乳給与プログラムを提示した。 黒毛和種牛の初乳はIgG1濃度が高く、子牛への免疫賦与効果が高いことが示唆された。また、黒毛和種子牛への初乳給与量や初乳給与までの時間を検討し、初乳給与プログラムを提示した。
BSE疑似患畜の経過観察と脳内接種法の確立 研究参考 BSE感染牛作出のためのプリオン脳内接種法を確立し、プロトコルを作成した。 本試験で導入した疑似患畜は、BSEを発症せず、脳組織におけるプリオンの蓄積も無かった。また、牛へのBSE感染試験を行うための脳内接種方法を確立し、プロトコルを作成した。
牛ES細胞の樹立とES細胞由来クローン産子の作出 研究参考 牛ES細胞の樹立に成功し、ES細胞の核移植による産子生産の可能性を示した。 牛胚盤胞期胚の内部細胞塊を培養することにより、未分化性および多分化能を保持したES細胞を樹立することができた。また、牛ES細胞の核移植により得られた胚盤胞期胚を移植し、3頭の産子を得た。
高水分乳牛ふん尿の簡易堆肥化技術 普及推進 簡易な手段(堆肥舎床面の溝きりとバーク敷設)による高水分乳牛ふん尿の堆肥化技術を提示した。 堆肥舎床面に排汁の流出路として溝切りやバーク敷設することで、排汁量、水分減少量は多くなり、両者の併用では効果はより大きく、実用規模の4カ月間堆積(切返し2回)でもその効果は確認され、腐熟は進んだ。この堆肥を堆肥舎、シート被覆堆肥盤で2カ月間堆積(切返し1回)することで腐熟はより一層進んで、完熟に達した。
牧草の新しいTDN推定式の検証 普及推進 NRCの新しいTDN推定式はチモシー主体牧草のTDNを精度高く推定できることを明らかにした。 検証した新しいTDN推定式(NRC01式)は現行の式よりチモシー主体牧草におけるTDN推定精度が高く、近赤外分析による成分推定値を用いた場合にも実用的な精度を維持していた。このことから、チモシー主体牧草のTDN推定式に利用できることが認められた。