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畜産試験場

平成13年度研究成果

平成13年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題

畜産試験場関係

;課題名 セールスポイント 成績の要約
黒毛和種肥育素牛育成に対する放牧および補助飼料給与技術 放牧育成した素牛は、肥育期間の採食性や増体が良好で良質肉の生産が可能、育成コストも節減できる。 舎飼育成した素牛に比べ、放牧した区の方が肥育期間の飼料摂取量は高く推移。枝肉成績は両者に差がないが、可食肉生産に優れる。育成コスト(飼料費、敷料費)は放牧した区で約4割減と試算。放牧育成期の補助飼料給与水準を提示。
自動哺乳装置を用いた子牛の群哺育管理技術 自動哺乳装置を用いた群哺育方式の利用実態を明らかにし、導入方式別に群哺育プログラムを策定した。 自動哺乳装置を用いた群哺育では、導入方式によって管理方法が異なり哺乳量および哺育期間も異なった。一括導入・離乳方式では疾病対策が重要であったが、順次導入・離乳方式では自家産子牛を対象としているため疾病発生は少なかった。
豚舎新築方式によるSPF豚農場開設のマニュアル化 豚舎新築方式により開設したSPF農場の立ち上げから初期稼動期間に関する豚舎運営マニュアルを作成した。 農場立ち上げ時の施設消毒の方法、作業能率、消毒効果を明らかにした。農場立ち上げ初期の疾病清浄度、豚の発育成績の経時的な変化を明らかにした。豚舎構造について、農場の清浄度を維持するための設計上の留意点を示した。
フォーレージテストにおける近赤外分析用の新しい検量線の作成 道内5つの粗飼料分析センターで統一して用いる精度の高い検量線を作成した。飼料分析担当者向けの成績。 近赤による粗飼料分析においてPLS(Partial Least Squares)法を用いた検量線の作成条件を整理し、青草用一般成分および水溶性糖類推定用検量線を作成した。更に、未粉砕試料への応用の可能性について示した。
季節外繁殖に対応した母羊の栄養管理が受胎率に及ぼす影響 前産次授乳期の栄養水準と繁殖成績の間に明確な関連は示せなかったが、不妊であっても秋の通常繁殖で受胎できる。 授乳期栄養水準の高い方が、発情誘起率、妊娠率、受胎率および一腹産子数は高い傾向であったが、栄養改善だけでは妊娠率のバラツキを軽減できなかった。
PCR法による牛糞便からの腸管出血性大腸菌O157の検出システム 牛糞便中大腸菌O157を短期間に、高感度かつ安定的に検出できるシステムを確立。 牛糞便中のPCR阻害物質を除去するDNA抽出法とO157特異プライマーを開発し、PCR法によって牛糞便中O157を高感度に検出できるシステムを確立した。本法は現在最も高感度とされる免疫磁気ビーズ法と同等の感度を有し、より短期間(4日→2日)で安定した検出が可能であるとともに多検体処理が容易である。
受精卵クローン牛の効率的生産技術 1つの初期胚から、4~5頭の性判別した受精卵クローン牛を安定的に生産できる技術体系を確立。 アルファルファ草地に対する踏圧の影響を軽減するには、踏圧後のアルファルファの収量と割合からみて、開花期以前の刈取りと、刈取り後の速やかな収穫調製作業が重要である。再生芽発生時期との関係から刈取り時生育ステージ別の作業適期幅を示した。
分娩警報装置による牛の分娩報知 試作した分娩警報装置を分娩予定1週間前に装着することで、牛の分娩開始を報知。 本装置は、膣内に挿入した温度センサー内蔵プローブが分娩開始に伴い体外に排出され、温度低下(体温外気温)を感知し、指定の電話へ知らせるものである。プローブ部を分娩予定日の1週間前に装着することにより、分娩開始を報知出来ることを示した。
受精卵の遺伝子解析による牛の遺伝性疾患診断法の開発 遺伝子解析により、受精卵段階で牛の遺伝性疾患診断および性判別を同時に実施できる手法を開発。 受精卵から少数の細胞を損傷少なく採取する方法を開発した。この方法で牛受精卵より採取した少数の細胞を用いて、遺伝性疾患の一つであるバンド3欠損症の診断および性判別を同時に行う方法を開発した。(特許出願中)
牛の敷料および牛ふんの堆肥化副資材としての石炭灰の利用 石炭灰はオガクズと混合して、敷き料や堆肥化副資材として利用可能である。 石炭灰はオガクズ等と混合して牛の敷き料や牛ふんの堆肥化副資材として利用可能である。多量の石炭灰の混合は発酵を抑制するため、その混合比率は30%を上限として利用することが望ましい。また、石炭灰はオガクズと同程度のアンモニア揮散の低減効果が確認された。
牛の敷料および牛ふんの堆肥化副資材としての破砕古紙の利用 破砕古紙は敷料としてオガクズ等と混合して利用可能で、堆肥化副資材としても有効な資材である。 破砕古紙はオガクズと混合して牛の敷き料として利用することが可能で、牛ふんの堆肥化副資材としても易分解性有機物を多く含み、オガクズを用いた場合よりも発酵温度が高く、容積や重量の減少率が高い等の点から有効な資材であることが明らかとなった
簡易ふん尿堆積場の造成法 シートによる自家施工可能な低コスト簡易ふん尿堆積場の構造とその造成法を示した。 簡易堆積場は、整地面の上に防水シートを敷き排汁回収用パイプを設置し、床土を入れて締め固めた構造で、この上にふん尿を堆積してシートを掛けて利用する。堆積場内で作業する堆肥盤型、堆積場の脇からバックホーで作業のできる堆肥列型が自家施工で造成できる。本堆積場は「家畜排せつ物法」の管理基準に適合し、造成コストは1,100~3,000円/㎡である。
(担当場所:根釧農試及び畜産試験場)