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畜産試験場

平成20年度研究成果

平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)畜産部会提出課題

畜産試験場関係

課題名 判定 成績の要約
育種価と近交係数に基づいた黒毛和種の交配計画 普及推進 黒毛和種における産肉能力の総合育種価評価法および、種牛能力である母・子牛の発育・

哺育能力と繁殖能力の育種価評価法を開発し、近親交配の影響を評価しました。開発した交配シュミレーションソフトは、特定の雌牛と種雄牛の組み合わせを選択すると、生まれる子牛について遺伝的能力の期待値と近交係数をレーダーチャートとして表示できます。そのため、生産者は血統だけに頼らず、科学的数値に基づく交配計画を立てることができるようになりました。

大ヨークシャー新系統豚「ハマナスW2」 普及奨励 大ヨークシャー系統豚「ハマナスW1」の後継系統として、産肉能力、産子生産能力、肢蹄強健性に改良を加えた新系統「ハマナスW2」を造成しました。新系統はハマナスW1の特徴であるロース芯脂肪含量が高いという肉質も受け継いでいます。また、「ハマナスW2」によるF1雌豚は、「ハマナスW1」によるF1雌豚に比べ産子数が多く、子豚の哺育成績も良好です。「ハマナスW2」による三元交雑肉豚は130~140日齢で出荷体重に到達し、枝肉上物率は67%と良好です。
SPF肉豚の枝肉脂肪厚調節のための飼料給与法 指導参考 SPF肉豚の性別の摂取エネルギーに対する発育、脂肪蓄積等の反応を明らかにしました。また、去勢雄用肥育飼料のTDNの調節により、去勢雄の格落ちの要因となりやすい過剰な脂肪蓄積を抑制できることを示しました。
養豚場における生産性阻害疾病病原体の感染実態と離乳後事故率の低減対策 指導参考 生産性阻害疾病病原体の複合感染が道内養豚場の離乳後事故率を増加させていることを明らかにしました。離乳後事故率低減には、離乳子豚舎と肥育豚舎内を壁で仕切り部屋単位で豚をオールイン・オールアウトする方式が有効です。
交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)肥育牛における筋肉水腫低減対策および尿石症検出の指針 指導参考 肥育前期からの長期のビタミンA摂取不足が交雑牛の筋肉水腫の要因となることを明らかにし、低減のためのビタミンA給与法を示しました。また、従来の陰毛の結石析出による尿石症検出法の問題点を明らかにし、新たに排尿困難とBUNによる尿石症検出の指針を示しました。
牛におけるBSE臨床診断のための聴性脳幹反応の正常値 研究参考 黒毛和種成雌牛とホルスタイン種1、3、6、12ヶ月齢の聴性脳幹反応(ABR)の正常値を明らかにし、今までに測定されたことのないBSE以外の疾病牛のABRの解析を行い、BSE類症鑑別のための基礎的な知見を示しました。
牛XY分取精子を用いた雌受精卵の生産技術 研究参考 クエン酸緩衝液で分取精子を凍結することで融解後の精子運動性が向上し、精子活性化法の選択でX分取精子による体外受精卵の生産効率が向上します。また、X分取精子により雌体内受精卵が生産され、雌牛の生産効率を向上できる可能性を示しました。
体細胞クローン受胎牛における分娩遅延の要因 研究参考 体細胞クローン胎子を受胎した牛における分娩遅延の直接の原因は、血中の活性型/不活性型エストロジェン比が低いためであること、また、この現象は、分娩時の胎盤においてエストロジェンを不活性化する遺伝子の過剰発現に起因していることを明らかにしました。
牛体細胞クローン胚の遺伝子発現動態 研究参考 単一の胚から複数の遺伝子発現量解析が可能であることを明らかにし、体細胞クローン胚における様々な遺伝子の発現量を解析しました。その結果、胎子の成長に関与することが知られる遺伝子等において発現異常があることを示しました。
畑作酪農地帯における乾式メタン発酵施設の適用場面とバイオマス資源の発酵特性 研究参考 十勝地域における乾式メタン発酵施設の適用場面として、ガレージ方式は地域で稼働している堆肥センターへ、また、コンポガス方式は自治体等で運営されている大規模な処理施設へ導入可能性があります。また、利用可能なバイオマス資源(家畜ふん尿、農産残渣等)量および発酵特性を明らかにし、それらを踏まえて、今後の実用技術開発に当たっての課題を提示しました。