水産研究本部

サ行

サ行

採捕(さいほ)

採捕の定義では、「天然の状態にある無主物である水産動植物を人が所持する、あるいは、事実上人の支配する状態に移す行為」をいい、民法(第239条)では「無主の動産は所有の意思を持ってこれを占有することによって、その所有権を取得する」と規定されている。この行為を漁労と称しているが、漁業権が設定されているため、だれでもが自由に採り放題で良いものではない。 

さやめる(網、縄)

仔魚(しぎょ)

魚類における卵からふ化して成魚にいたるまでの間の一発生段階。卵→(ふ化)→仔魚→稚魚→若魚→未成魚→成魚となる。稚魚(成魚と同じ形になる)前の段階をいう。 

糸状体(しじょうたい)

ノリ(アマノリ類)の葉体にできた果胞子が葉体から離れ、海底に沈み、貝殻の破片などにたどり着くと穿孔(せんこう)して貝殻の石灰質の中に侵入しカビのような糸状の体になる。
これを糸状体またはコンコセリスと呼んでいる。
 

ジャンボ式養殖施設(ジャンボしきようしょくしせつ)

従来のコンブ・ホタテ養殖施設は単体で設置されていたが、これを複数基、横につないだ施設の通称。以前より大型と言う意味で使われている。 
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こんぶ養殖施設

雌雄異体(しゆういたい)

卵巣を持つ個体である雌と精巣を持つ個体である雄が別々の個体で、明瞭(めいりょう)に区別される場合をいう。

関連語:雌雄同体 

自由漁業(じゆうぎょぎょう)

漁業者が漁業を営む場合に、漁業法令・調整規則等の制限を受けずに操業できる漁業を自由漁業という。
一般にはつり、はえ縄漁業等がその例としてあげられる。なお、漁業調整上の必要から、海区漁業調整委員会が自由漁業に対して制限の指示を行う場合もある。 

雌雄同体(しゆうどうたい)

同一個体内に雌の形質である卵巣と雄の形質である精巣をあわせもつもの、あるいは両性腺をもつものをいう。雌の性質と雄の性質が同時にその機能を表す場合を機能的雌雄同体、雄の性質と雌の性質が時間的に前後して現れる場合を隣接的雌雄同体という。

関連語:雌雄異体 

集魚灯(しゅうぎょとう)

魚の正の走光性を利用し火光を用いて魚を集めて行う漁業を火光漁業という。サンマ棒受網、イワシやサバのまき網などは集魚灯を使用する代表的な火光漁業である。現在は白熱灯や放電灯、メタルハライドランプなどが用いられている他、電気の効率の面からLED(発行ダイオード)を利用した集魚灯の開発が試みられている。 

シングルシード

オーストラリアから学んだカキの種苗生産における「シングルシード=一粒タネ」方式。マガキの幼生を付着させる時、従来のホタテの原盤(貝殻)の代わりに、カキの貝殻を砕いて作った直径約0.2ミリの粒を使う。陸上の水槽の中でマガキの卵を受精させ飼育し、幼生になったころ、カキ殻の粒の入った水槽内に入れる。幼生は粒より少し大きい0.3ミリほどで、粒一つに一つの幼生しか付着できない。これが「シングルシード」の呼び名の由来となっている。 

人工種苗生産(じんこうしゅびょうせいさん)

魚貝類の卵を人為的に受精し、ふ化させ、プランクトンや人工の餌などを与えて、自然の海で最も減耗の大きな時期(初期減耗)を、室内の水槽等で飼育管理し放流又は養殖用に供給する仔稚魚または稚貝等を作ることをいう。 

シーアンカー

 パラシュートのような形状で水中に入れると流れの抵抗を受けて膨らむ。シーアンカーを入れると、風で船が流されるのを軽減し、また常に風に船首を向けさせ、ローリングやピッチングが減る。
 
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シーアンカー

GPS(ジーピーエス)

人工衛星を用いた船位測定装置(Global Positioning System)であり、航跡、船位を緯度・経度で表示またはCRT(カラープロッター画面)に表示させる。  

スパンカー

船首を風上に立てるため船尾マストに立てる帆をいう。 
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漁船概念図

スラスター

水面下にあって普段は見ることは出来ないが、船底の大きな穴に小型プロペラがついており、船を左右に移動、狭い港内で船体をその場で回頭させたり、安全に岸壁への離着岸ができるように使用する操船補助装置をいう。
また、ウニやアワビ、ナマコのたも採り、ヤス採りなどの祭、磯舟などの舷側に付け、微速移動するための小型の動力スクリューを言うこともある。 

寸・分(すん・ぶ)

寸(すん)は、尺貫法における長さの単位であり、尺の10分の1と定義される。寸の10分の1が分(ぶ)である。日本では明治時代に1尺=(10/33)メートル(m)と定められたので、1寸は(1/33)メートル、すなわち約3.03センチメートル(cm)となる。1里=36町、1町=60間=360尺、1間=6尺、1尺=10寸=0.30303メートル、1寸=10分=0.0303メートル(3.03センチメートル)、1分=0.3030cm(3.03ミリメートル)。なお、網地の1反は普通、幅100掛、長さ100間(151.5メートル)のものをいう(1間は1.515メートルで換算)。 

積算温度(せきさんおんど)

生物がある発育段階を完了するのに要した時間と、その間の平均有効温度(発育期間中の平均温度から発育停止温度を引いた値)の積のこと。サケでは、ふ化時期予測の目安として受精からふ化までの毎日の水温の合計を用いている。 

瀬縄(せなわ)

漁具を固定する錨からボンデン(浮標)を結ぶロープのことをいう。 

潜行(降)板(せんこうばん)

船を航走させると釣り針は表層または表層近くを曳く。その際、釣り針を所定の深さに沈めて目的物の遊泳層に合わせるために用いる木製またはプラスチック製の板のことをいう。 

船頭(せんどう)

和船で、船に乗り組み指揮をとる人。船の長。ふなおさ。船長。 小船を操る人。また、船をこぐのを職業とする人。 

選葉(せんぱ)

コンブ製品作成工程の中で、コンブを乾燥後、整形し(社)北海道水産物検査協会の規格にしたがい、等級別に葉を選別すること。 

増殖(ぞうしょく)

海や河川における天然の水産動植物を増やす行為で、稚魚を放流したり、稚魚の成育のために必要な魚礁を設置したりすることをいう。 

袖網(そであみ)

定置網漁業では、網の端口の両端から魚群を受けるように八の字形に出した塀状の網、端口付近まで来た魚群を広く受けて袋網に入りやすくする。
ひき網漁業では、袋網の両側左右対称につく網、魚群を広く駆り集め袋網に追い込む役目をもつ。