水産研究本部

試験研究は今 No.4「磯焼けはどうして起こるのか。また、どのような対策が行われているか」(1989年9月22日)

試験研究は今 No.4「磯焼けはどうして起こるのか。また、どのような対策が行われているか」(1989年9月22日)

 Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A 「磯焼け」は、どうして起きるのですか。また、どのような対策が行われているのですか。

  磯焼けとは、「大型の海藻類がほとんど枯れてしまい、石灰藻で岩面がおおわれ白色または黄白色に変わってしまう現象」をいいます。

  こうなると、コソプやワカメなどの生育はもちろん、海藻を餌としているウニやアワビの生育が悪かったり、藻場を産卵場や成育場としている魚も減少し、沿岸漁業に大きく被害を及ぼすことになります。北海道では、特に後志、桧山支庁管内の沿岸にこの現象が見られ、大きな問題となっています。

  磯焼けは本道だけでなく、全国各地にも見られ、それぞれの試験研究機関で調査が進められています。磯焼けが起きる原因については、日本海の栄養不足、海藻着生基質の劣化、ウニによる食害などといろいろ言われていますが、今のところ、はっきりしていません。では、どうして餌のない磯焼け地帯にウニなどが多く住み着くのでしょうか。

  これは海流にのって、よそから運ばれてきたウニがそこで生活するためです。小さなウニは、主に岩面や石灰藻の表面に付着している非常に小さな藻類(硅藻)を餌としていますが、この付着硅藻の生育に大型海藻の生えていない磯焼け地帯が適しているのです。

  このため、小さなウニは餌に不自由することなく磯焼け地帯に住み着きますが成長するにしたがって、より大きな海藻を餌とするようになり、これらの海藻が発芽すると、その芽をすぐ食べてしまいます。その結果、海藻が育たず、ウニも身入りが悪くなり、食べられにくい石灰藻だけが繁殖して磯焼け現象が続くのだと考えられています。

  それでは、このウニを除いたら海藻が生えてくるのでしょうか。

  水試では、昭和62年から泊村で磯焼け関連の調査研究を行っていますが、63年1月、約0.2haの漁場のウニを全て取り除いたところ、3か月後にほ、取り除かなかった場所に比ベ10倍以上の海藻が生えてきました。

  このことから、ウニによる食害が明らかになり、今後の対策の一つの方向性が見出だされました。同時に、水試では、身入りの悪いウニに沖合養殖したコンブを給餌するシステムの開発など、磯焼け漁場を積極的に利用する研究も進めています。(中央水試)
    • 磯焼けで石灰藻とウニが目立つ漁場
    • 給餌したコンブに群がるウニ

トピックス

スルメイカの調査終了

スルメイカ
  8月21日から8月31日まで日本海の石狩、積丹沖で中央水調査船「おやしお丸」によってスルメイカの調査を実施しました。調査の内容は海況調査や漁獲試験のほか、回遊移動を調べるための標識放流です。

  標識のついたスルメイカがとれたときは、最寄りの水産試験場、水産技術普及指導所までご連絡願います。
(中央水試)

標識のついたタコを捜して下さい

標識のついたタコ
  網走支庁管内たこ漁業連絡協議会と水試は共同でミズダコの標識放流を実施していますが、今年は合計300個体の標識放流を予定しています。標識のついたタコを見つけましたら、水産試験場、水産技術普及指導所までご連絡願います。

  今月、能取岬沖で昨年8月に紋別港沖で放流されたタコが見つかりました。その体重は放流時の400グラムに対して約8倍の3.2キログラムになっていました。この他にも再捕の報告が寄せられておりますので、オホーツク海のミズダコの成長や移動状況が少しづつ明らかになるものと期待しています。
(網走水試)