水産研究本部

試験研究は今 No.12「おやしお丸の代船について」(1989年12月1日)

試験研究は今 No.12「おやしお丸の代船について」(1989年12月1日)

中央水試調査船「おやしお丸」の代船決まる。

完成予想図
  現「おやしお丸」は、昭和44年、全鮭連の調査船として建造された船で、函館水試調査船として昭和53年に道が購入し、昭和63年に中央水試に配置換えになったものです。この船は調査船として建造されていたとはいえ、航海計器、魚倉、居住区などは漁船並に作られており、船型もサケ・マス流網以外の漁業には不向きになっていました。このため、大幅な改造工事を施して運航してきましたが、航海計器や調査機器の搭載スペース、居住区と研究室の狭さに加え、船齢も20年を超えたため、平成2年8月竣工予定で新たな調査船を建造することに決まりました。

  新たな船は、175トンで、全長39メートル、幅7.7メートル、深さ3.6メートルで、現「おやしお丸」よりは小さくなりますが、居住スペースと調査作業スペースの有効利用を図るため、長船首楼型にしました。長船首楼甲板のブリッジの後ろで流網や篭、底刺網の揚網作業をし、船尾の上甲板でこれらの投網作業、ビームトロ一ルやソリネットの投揚網作業と海洋観測ができ、サケ・マス、イカ、カニ、エビ、底魚の資源調査、沿岸資源調査、海洋調査を行います。主要装備は次の通りです。

  • サイドスラスターとジョイスティックコントロール装置
    • 港内での離接岸、投揚網、海洋観測時の操船を容易にするため船首、船尾にサイドスラスターを設け、さらにジョイスティックコントロール装置を備えました。これはスラスターの出力、舵角、プロペラーピッチをコンピュータで自動制御するもので、旋回、斜航、横移動、船首を風に立てての停船などの難しい操船を誰でも簡単に行えるようにした計器です。
  • 海底探査装置
    • これまでの音響測探機は船が通過した真下の水深のみを表示していましたが、この装置は船底から左右それぞれ60度に超音波を送受波することにより、海底地形を3次元的に見ることが出来る装置で、同時に海底付近の魚群の反応もとらえるため、海底地形調査や底魚調査、魚礁調査などに欠かせないものです。
  • 水中用波長別光エネルギー分析装置
    • 植物プランクトンの増殖には陸上の植物と同じように光が必要ですが、これは水深別、波長別に光エネルギーを測定する機械で海域の基礎生産力の解明に役立ちます。
  • 動物プランクトン計量システム
    • 船底からポンプで表面海水を揚水し、動物プランクトンの量をサイズ別に連続的に自動測定し、同時に水温、塩分、溶存酸素、クロロフィルaなどの環境情報も測定する機器です。
  • オートアナライザー
    • 海域によって栄養塩量は異なり、その消長機構、補給機構、季節変化などを解明する必要があります。オートアナライザーは栄養塩類の窒素、リンなどの量を測定する機械で、栄養塩は採水直後から変化し始めるため、精度の良いデータが得られるよう船の研究室に設置します。
  このほか、高精度の塩分測定器やCTD観測装置、科学計量魚探、ドップラー潮流計、水中テレビなどの最新鋭の調査機器を装備しています。
(中央水試)

トピックス

松前町から研修生が来場

  函館水試に松前町役場の職員(水産課加工振興係の若竹さん)が研修に来ましたので、その内容をご紹介します。
松前町はイカ釣漁業を主体にした漁船漁業の町ですが、スルメイカ加工を主体にした水産加工業も盛んです。町では生産から加工までの一連のシステムを確立すべく、さまざまな取り組みをしています。このたびの町職員の水試への研修生の派遣は、こうした町の新たな取り組みの一環でもあります。

  こうした研修生への指導は函館水試では、増殖部と加工研究室が担当していますが、今後ともこのよう研修要請があれば積極的に受け入れる考えです。もちろん、漁業者の研修も受け入れておりますので、お知らせします。
(函館水試)

「なるほどザ・シシャモ」

シシャモ
  今年度のシシャモ漁業は11月17日の一日間で130トンを漁獲するなど、釧路水試の漁期前予測のとおり豊漁のうちに終了しました。こうした中で、クイズ番組「なるほどザ・ワールド」から釧路水試の概要やシシャモに関しての取材を受けました。番組で出題されるのは「シシャモの雌雄の見分け方」についてですが、さて問題です。下の図のどっちが雌でしょうか?皆さんはお分かりになりますか。放映は12月5日、21時からの予定です。また、このシシャモの雌雄の見分け方については次号に詳しく登載します。
(釧路水試)