水産研究本部

試験研究は今 No.19「イガイの下によくアワビの稚貝を見るが、イガイとアワビの関係」(1990年2月9日)

試験研究は今 No.19「イガイの下によくアワビの稚貝を見るが、イガイとアワビの関係」(1990年2月9日)

Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A イガイの下に良くアワビ稚貝を見かけるが、アワビとイガイはどんな関係にあるのですか

アワビとイガイの関係
  アワビのいる浜で、水深2~5メートルぐらいの岩に着いているイガイをはがしてみると、1~2センチメートルのアワビの稚貝がイガイの表面やその下の岩に付いているのをよく目にします。このことは昔から知られていたようで、「アワビのために、イガイは獲らない」という話があちこちの浜で聞かれます。ではアワビとイガイはどんな関係にあるのでしょうか。

  アワビは卵からふ化して、3~7日の短い期間、海中に浮いて生活(浮遊幼生)した後、海底に沈着して生活するようになります。この浮遊幼生は自分で泳ぐ力が弱いので、沈着する場所は海水の流れによって大まかに決まります。流されながら海底近くに沈んだ幼生は付着する岩や石などを探します。この時、アワビの幼生は、仲間のアワビの足から出される粘液物質に引きつけられたり、石の表面に付いている石灰藻(磯焼け地帯に多く見られる石のように固い海藻)から出される化学物質によって沈着させられると言われており、また、この石灰藻が多くあるところは、アワビの稚貝の最初の餌である付着珪藻の多いところでもあるのです。

  その後、沈着したアワビは、周りの付着珪藻を食べながら成長しやがて3~5ミリメートルぐらいになると、親と同じように暗い場所を強く求め、自分が入れるぎりぎりの狭い隙間を選ぶようになります。これはアワビの目の発達によるものと考えられていますが、このような性質がアワビを食べるカニ、ヒトデ、魚などから身を守ることに非常に役立つことになるわけです。この稚貝が身を守る隙間は、イガイがびっしり付着した場所にたくさんあります。こうした隙間に沈着したアワビは害敵などから身を守られ、生き残ることが多くなると考えられます。また、そのような隙間には、周りの岩や石に沈着した稚貝がだんだん集るため、イガイのたくさんいる場所にアワビの稚貝が多くなるわけです。もちろん、イガイを守るだけでアワビが増えるということにはなりませんが、イガイを残すことは、アワビの稚貝の良い住み場を作ることと同じ意味があると言えるのです。
(函館水試)

トピックス

全道漁村青少年婦人グループ活動実績発表大会が開催される。

全道漁村青少年婦人グループ活動実績発表大会
  1月26日、札幌市の第2水産ビルで北海道漁業士称号授与式並びに第35回全道漁村青少年婦人グループ活動実績発表大会が開催されました。漁業士称号授与式で知事から漁業士の称号を授与されたのは次の方々です。

(青年漁業士)
広尾漁協 中田 隆明
白糠漁協 井嶋 哲也
歯舞漁協 井川 一美
別海漁協 鈴木 隆三
網走漁協 田村 隆
雄武漁協 佐藤 秀一
鬼脇漁協 佐々木 忠弘
頓別漁協 新川 宗孝
小平漁協 酒井 貢
焼尻漁協 高松 幸彦

(指導漁業士)
大樹漁協 須藤 悟
白糠漁協 吉元 宏
根室漁協 富山 由男
羅臼漁協 八幡 光男
西網走漁協 大高 隆吉
ウトロ漁協 新田 稔
香深漁協 高橋 亮広
沓形漁協 池原 恒
小平漁協 角谷 博美
天塩漁協 菅原 俊博
(敬称略)

  また、青少年婦人活動実績発表大会では13グループの発表があり、そのうち特に優秀と認められた次の3グループが、全国大会へ推薦されました。

(青年グループ)
別海漁協青年部 「西別サーモンの手作りによる山漬け加工とPR活動について」
香深漁協青年部 「ウニの安定供給を目指して」
増毛漁協別苅浅海増養殖研究会 「21世紀に向けての海づくり」

(婦人グループ)
虎杖浜漁協婦人部 「自主財源の確立を目指して~私たちの手作り活動」

  漁業士の皆さん、実績発表大会に参加された青年、婦人グループの皆さんの今後一層の活躍を期待しています。
(水産部)