水産研究本部

試験研究は今 No.26「スケトウダラ乾製品の褐色防止と上手な保存法法について」(1990年4月6日)

試験研究は今 No.26「スケトウダラ乾製品の褐色防止と上手な保存法法について」(1990年4月6日)

Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A スケトウダラ乾製品の褐変防止と上手な保存方法を教えてください。

スケトウダラ
  スケトウダラ乾製品の褐変は、主として、魚肉の中に含まれるアミノ酸やたんぱく質などの成分と、糖類や脂質が酸化して生じる成分が反応するアミノカルボニール反応によって起こります。

  この反応は、加熱によっても、また室温のままにおいても徐々に進みますが、含まれる成分だけでなく、温度、水分、ペーハー(水素イオン濃度)の違いによっても異なり、最後は褐色から黒褐色の着色物質が生じます。現在、この着色物質の化学構造は明らかになっていませんが、褐変を防止したり、反応を少しでも遅らせるには、次のような方法がありますので、いろいろ組合せて検討する必要があります。

1:鮮度の良い原料を用いること。

  どんな製品でも鮮度の落ちた原料からは良い品物はできません。鮮度の悪い原料では血液が付着しやすくなっており、この血液中の鉄分が褐変を進めます。また、鮮度が低下することによってできるアミンという物質も褐変に関係すると言われています。

2:洗浄、水さらしを十分に行うこと。

  調理後は十分に洗浄、水さらしをして、褐変に関係する血液などを除くことが大事です。水さらしは流水で行うのが望ましいのですが、止水で行う場合は時々かくはんし、水を何回か変える必要があります。

3:処理工程中の温度はできるだけ低くすること。

  アミノカルボニール反応の速度は温度上昇に比例して早くなります。機械乾燥の場合、外気温より7~8度高い温度におさえると湿度60パーセント程度の良好な乾燥条件が得られます。

4:ペーハーを低下させること。

  他の条件によっても異なりますが、アミノカルボニール反応はペーハーの低い酸性では弱いと言われています。ペーハーを下げるには種々の酸性製剤がありますが、一般には酸性重合リン酸塩が用いられます。

5:製品の保管は低温で行い、湿気を避け、直接空気や日光にさらさないこと。

  製品の保管は5度程度の普通の冷蔵庫で保管できますが、できれば褐変反応のほとんど進まない-30度以下の低温で保管するのが望ましいでしょう。また、空気中の酸素や太陽の光がアミノカルボニール反応にどのように影響するかはまだ明らかではありませんが、酸素や光は脂質の酸化を進めますし、また、高い湿度も製品が吸湿し、褐変に影響します。

  それを防止するためには酸素透過性の少ないシートで覆うか、袋に入れて暗い所での保管が望ましいでしよう。
(釧路水試)

トピックス

「平成2年桧山地域水産試験研究プラザ」を開催

平成2年桧山地域水産試験研究プラザ1
  桧山支庁管内の水産試験研究プラザ(桧山北部地区)が3月27日桧山町民センターで開催され、漁業者を中心に120名余りの水産関係者が集まりました。プラザでは、水試の各研究部門、栽培漁業センターの概要を説明したほか、桧山北部地区の主要魚種であるウニ、アワビ、コンブについての話題提供があり、特に日本海で大きな課題となっている磯焼現象について質問が集中し、真剣な討議が行われました。
平成2年桧山地域水産試験研究プラザ2
 また、プラザ終了後は漁業者との懇談会が開催され、お酒を交わしながら将来の地域漁業について話し合われました。
 
  桧山支庁管内では、このほか、桧山南部地区と奥尻(離島プラザ)でもプラザを開催する予定です。
(函館水試)