水産研究本部

試験研究は今 No.288「平成8年生まれホタテガイ稚貝付着数について」(1996年12月13日)

平成8年生まれホタテガイ稚貝付着数について

全道各地の今年のホタテガイ採苗器への稚貝付着状況について各地区水産技術普及指導所の協力を得て調査を行いましたのでお知らせいたします。今年は46漁協分の採苗結果の報告がありました。

1.付着状況

  今年の付着状況を例年と比較すると日本海南部が不良~並、津軽海峡は不良、渡島太平洋は並、噴火湾は並~良、日高太平洋は並~良、根室海峡は不良、オホ-ツク海南部は並~良、能取湖・サロマ湖は良、オホーツク北部も良、日本海北部は並~良となっております。

  支庁別では後志管内、根室管内が不良で渡島管内が不良~並、そして胆振管内、日高管内、網走管内、宗谷管内、留萌管内、石狩管内が並~良という状況でした。

  漁協別では報告のあった46漁協のうち良が17漁協(37パーセント)、並が24漁協(52パーセント)、不良が5漁協(11パーセント)となっており、昨年と比較して並の比率が上がり、良と不良の比率が下がっています。

  図の数値は量後に報告のあった平均地を表示した。(百単位)

  タマネギ袋やネトロン袋網では1袋当り棒網では網地100グラム当たりの数とした。
図-1、表-1に地区別の採苗器1袋当たり(安浦、鹿部、虻田、有珠では棒鋼を用いているので網地100グラム当たり)の付着数を示しました。日本海南部が231~2,688個、津軽海峡は525~744個、渡島太平洋は49,970~59,001個、噴火湾は8,877~164,120個、日高太平洋は1,678~9,248個、根室海峡では羅臼漁協のみですが100個、能取湖・サロマ湖は4,658~10,598個、オホーツク南部では2,336個~5,394個、オホーツク北部は2,030個~7,571個、そして日本海北部では992個~5,175個という結果でした。平成7年に比較して渡島太平洋、日高太平洋、オホーツク海が良好でした。
    • 図1
表1 平成8年生まれ海域別ホタテガイ稚貝平均付着数
海域 日本海南部 津軽海峡 渡島太平洋 噴火湾 日高太平洋
付着数 231~2,668個 525~744個 49,970~59,001個 8,877~164,120個 1,678~9,248個
海域 根室海峡 能取・サロマ湖 オホーツク南部 オホーツク北部 日本海北部
付着数 100個 4,658~10,598個 2,336~5,394個 2,030~7,571個 992~5,175個

2.採苗器垂下時期

  津軽海峡が5月10日前後、日本海南部が5月13~21日、日本海北部が5月14~25日、オホーツク北部では5月22日前後、オホーツク南部では5月下旬~6月上旬、能取湖・サロマ湖では6月中旬、根室海峡が6月14日と順に採苗器が垂下されました。また、渡島太平洋と噴火湾は5月下旬から6月上旬に、そして日高太平洋では6月中旬~下旬にかけて垂下されました。今年は水温が低くラーバの出現が遅れ、津軽海峡、日本海、オホーツク海、根室海峡、日高太平洋で昨年より1週間程度遅い時期となっています。渡島太平洋、噴火湾では昨年と同様の時期でした。

3.ヒトデ及びカニの付着状況

  ヒトデの付着状況は報告のあった中では最多個数でも8.5個/袋と少なく、昨年かなり多かった噴火湾では皆無でした。

  また、日本海でも平均で0.5個/袋であり、オホーツクも平均で1.5個/袋と全道的に少なかったようです。カニについては報告のあった試験用袋網では噴火湾で平均3.3個/袋であり、オホーツク南部で1.1個/袋、津軽海峡で1.0個/袋でした。

4.まとめ

  平成8年の稚貝付着数は例年並みと言えますが、採苗器垂下時期が遅れたことにより分散時の稚貝が小さかったようです。また、中間育成中に一部へい死した地区もあるので、今後も細心の施設の管理や稚貝の観察を続ける必要があります。(網走水試 水産業専門技術員)