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中央水産試験場

お魚の年れいを調べる

このさかなは何歳?

 多くの魚介類には、1年に1回の繁殖期があります。このことから、1種類の生きものは、誕生時期が1年ずつずれたグループの集まりと考えることができます。この考え方を応用すると、海の中で増えたり減ったりする様子を、うまくとらえることができます。でも、そのためには、その生きものが何歳なのかを、1個体ごとに調べる必要があります。


どうやって調べる?
 多くの魚介類は、季節の変化や産卵などのできごとの跡を残しながら、からだとともに成長する組織を持っています。魚類では主に耳石(じせき)※1やうろこなどの硬い組織ですが、それらを観察することで、年齢を調べることができます。特別な加工を施し、倍率が高い顕微鏡で観察すると、日齢※2を調べることができる場合もあります。ホタテ・イカなどの軟体動物やウニでも、年齢や日齢を調べることができます。
 このパネルの下に、目石標本の実物を展示していますので、ご覧ください。耳石やうろこの成長は、木の年輪ができる様子に似ています。

※1 耳石:魚類の頭骨内部にあり、平行感覚に関連する石灰質の小片です。輪紋 (シマ模様)をつくりながら成長する性質があります。
※2 日齢:生まれてからの日数を指します。年数を指す「年齢」に対応する用語です。

いろいろな魚の耳石・うろこ

うろこ
 サケのうろこに刻まれた縞模様は、冬季に形成された部分の間隔がせまくなる傾向があります。縞がせまくなっている部分が、左写真では3帯、右写真では4帯あります。左写真のサケの場合、秋に卵として産み出され、春にふ化して海に出て、北洋で冬を 3回経験し、産卵からほぼ4年が経過、右写真のサケでは5年が経過しているとみられます。
耳石
    • 表面観察したマガレイ,ソウハチ,アカガレイ,ニシン,ハタハタの耳石の写真
 これらの魚の耳石では、白い部分(不透明帯)と黒い部分(透明帯)が交互に並んでいるのが、表面や切断面を観察することでわかります。不透明帯は夏頃に、透明帯は秋~翌春にかけて形成される傾向があります。白部分と黒部分の1セットで1年分ということになり、その数を数えることで年齢を判断します。

 これらの稚魚の耳石には、1日1本ずつ形成されている輪が観察されます。その数を数えれば、ふ化からの日数「日齢」がわかり、採集した日から日齢を引き算すれば、「ふ化日」がわかります。




何歳でしょうか!?
 実際に年齢を判断する作業では、まぎらわしい紋様が不規則に形成されたり、高齢の魚では外側部分が観察しにくいなど、簡単にはいきません。たくさんの個体を観察して、その生物特有のパターンを目に焼き付ける、地道な訓練を重ねることが必要です。

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