平成26年5月2日
北海道立総合研究機構 水産研究本部
4月上旬~下旬の海況
海域別情報
日本海海域
前回,対馬暖流(指標:100m層水温6℃以上)は北海道西岸を流れていない状況でしたが,今回は,檜山の沖合において暖流の北上がみられます。しかし,対馬暖流の北上はせたな沖(北緯43°30′)までで,その後は沿岸寄りを南下しています。石狩湾沖定線(北緯43°30′線)の流量収支はほぼ0であり,積丹半島以北では暖流が流れていないことを裏付けています。
利尻島,礼文島周辺海域では,水温3℃以下の冷水が広がっています。この冷水は,日本海深層に分布する水塊とオホーツク中冷水(指標:水温2℃以下)との混合水と考えられます。
水温は,道南海域では,ほぼ例年並みに戻りましたが,せたな以北では沿岸を中心に例年よりも2~3℃低くなっています(水温偏差表参照)。
余市における旬平均水温は,3月中旬に偏差比3以下の「非常に低い」状態でしたが,その後は,例年よりも低い状況ながら緩やかに昇温し,4月下旬では「平年並み」になっています。
道東太平洋海域
親潮(指標:100m層水温5℃以下)が道東海域を広く覆っています。また,道東沿岸では沿岸親潮(*1,指標:水温2℃以下)が流れています。道東はるか南方沖の北緯40°線上では東経144°および東経147°の海域で黒潮系北上暖水(指標:50m層水温7℃以上)がみられます。
親潮域の水温は例年よりやや低くなっています。また,親潮の分布域が例年よりも南に下がっています。そのため,水温が,例年よりも低い海域が広くみられます(水温偏差表参照)。
道南太平洋海域
2月に引き続き親潮が道南太平洋を広く覆っています。また,日高の沿岸域では沿岸親潮が流れており,その先端は恵山岬付近にあります。津軽暖流(指標:100m層水温6℃以上)は沿岸モード(*2)です。
水温は,道東太平洋と同様に,例年よりも低い海域が広くみられますが,特に,沿岸親潮が沖に広がった海域の深度50m,100mを中心に2~3℃低くなっています(水温偏差表参照)。
オホーツク海海域
オホーツク海表層水の本道側への張り出しが強いため,宗谷暖流(指標:日本海の水温が低いため今回は50m層水温2℃以上)は海峡通過後,すぐに潜流となって流れています。また,網走沖ではオホーツク中冷水が接岸しており,宗谷暖流はサロマ湖付近から離岸し,沖合の深層へ潜り込んでいます。
水温は,全体的に例年よりも低い海域が多いですが,特に,オホーツク中冷水が張り出す沿岸側の海域で2~4℃低くなっています(水温偏差表参照)。資料
資料 | 観測期間 | 観測海域 |
---|---|---|
稚内水試(北洋丸) | 2014年4月8日~4月16日 | 道北日本海海域 |
稚内水試(北洋丸) | 2014年4月21日~4月23日 | オホーツク海海域 |
釧路水試(北辰丸) | 2014年4月16日~4月22日 | 道東道南太平洋海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年4月12日~4月17日 | 道西道南日本海海域 |
函館水試(金星丸) | 2014年4月24日~4月25日 | 道南太平洋海域 |
*2:津軽暖流が津軽海峡から襟裳岬まで大きく張り出してから南下している状態を「渦モード」と呼びます。これに対して,津軽暖流が青森県尻屋埼からすぐ岸沿いに三陸方面へ南下している状態を,津軽暖流の「沿岸モード」と呼んでいます。
水温平面分布図
表面水温
50m層水温
100m層水温
200m層水温
PDF版
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