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林業試験場

森とみどりのQ&A(病虫獣害・虫害)

病虫獣害/虫害

Q1.木の枝に白い泡がついているが、何か?

Q2.イチイ(オンコ)が弱って枯れてくるが、原因は?

Q3.イチイの葉が糸でつづられ、中に緑色の幼虫とサナギがいるが、虫の名前と防除法を知りたい。

Q4.プンゲンストウヒの葉が脱色したように白っぽくなるが、原因は?

Q5.マツを食害するアオムシやイモムシの種類と防除方法は?

Q6.マツを食べる毛虫の防除方法は?

Q7.サクラに毛虫が多数発生しているが何か? 防除法は?

Q8.ウメの木に毛虫が集団発生し、葉を食害されたが、害虫の種類と防除法は?

Q9.サクラの葉に赤くて細長いこぶのようなものがついているが、何か?

Q10.ハシドイの枝が粉のようなものに覆われ真っ白になっているが、何か?

Q11.ツツジやシャクナゲに寄生するカイガラムシの種類と防除法は?

Q12.ハマナスの葉裏に8月に丸いこぶがたくさんついているのを見つけたが、何か?

Q13.カラマツの葉に白いワタのような物がついているのを6月に見つけたが、これは何か?

Q14.トドマツ、カラマツ、アカエゾマツの若齢造林地に発生するアブラムシの種類と防除対策は?

Q15.カラマツに発生しているヒラタハバチ類について知りたい。

Q16.カラマツの球果を加害する害虫の種類と、被害球果の見分け方を知りたい。

Q17.カラマツヤツバキクイムシの被害危険区域を知りたい。

Q18.カラマツ林分の一部を皆伐し放置しておいたところ、翌年、近くのカラマツ生立木がカラマツヤツバキクイムシの加害で枯損した。今後の対処法は?

Q19.カラマツが5月に真っ赤になった。害虫の種類と生態を知りたい。

Q20.ツガカレハの被害と、その防除法を知りたい。

Q21.工場土場に「シラフヨツボシヒゲナガカミキリ」が発生しているので、その防除法は?

Q22.オオゾウムシの被害対策について知りたい。

Q23.マイマイガの被害や防除について知りたい。

Q24.カラマツハラアカハバチの生態や被害について知りたい。

Q1.木の枝に白い泡がついているが、何か?
A1.アワフキムシと思われます。白い泡が巣になっていて中に幼虫がいます。マツ類にはマツアワフキ、サクラやヤナギなどにはシロオビアワフキが普通にみられます。通常、多発しても美観を損ねる程度ですが、マツアワフキでは春乾燥した年にマツを枯らした例があります。

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Q2.イチイ(オンコ)が弱って枯れてくるが、原因は?
A2.イチイが全体的に衰弱する原因として過湿による根腐れやナガチャコガネの幼虫による根の食害があります。ナガチャコガネが原因の場合は、土を20cm~30cmの深さに掘ると、体が白く頭が黄色でC字型のイモムシ(最大長約25mm)が出てきます。
 成虫は茶色の1cm強のコガネ虫で,空知地方では6月下旬~7月上旬に現れます。成虫は日中は草むらや木の根元に潜んでいますが、日没直後に地上20~30cmの高さをゆっくりと飛び回ります。成虫を捕まえて駆除します。

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Q3.イチイの葉が糸でつづられ、中に緑色の幼虫とサナギがいる。虫の名前と防除法を知りたい。

A3.イチイの葉をつづって食べる主な害虫としてマツアトキハマキ、イチイオオハマキ、イチイヒメハマキがあります。以下の点で区別できます。

 

マツアトキハマキ体は緑色、頭部につやがある。被害時期は5月下旬頃。
イチイオオハマキ体は緑色、頭部につやがない。被害時期は7月。
イチイヒメハマキ体は淡い赤褐色。被害時期は5月下旬頃。

庭木や街路樹のイチイに多発することがありますが、実害が少ないので駆除の必要はありません。

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Q4.プンゲンストウヒの葉が脱色したように白っぽくなるが、原因は?
A4.トドマツノハダニなどハダニの被害と思われます。ハダニの被害葉を虫メガネで観察すると針葉に微小な黄色や白い斑点が多数みられます。春に乾燥するとよく多発します。

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Q5.マツを食害するアオムシやイモムシの種類と防除方法は?

A5.マツ類を加害するアオムシやイモムシとして以下の3種のハバチ(葉蜂)の幼虫が知られています。

 

マツノキハバチ体は灰色から黒。5~6月に発生。
マツノミドリハバチ体は緑色、黒い筋がある。7~8月と10月に発生。
マツノクロホシハバチ体は黄色、頭は黒。9~10月に発生。

常緑針葉樹は丸坊主にされると枯れることがあるので、幼虫をみつけたら取り除きます。なお、蜂の仲間ですが、成虫は針がなく人を刺すことはありません。

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Q6.マツを食べる毛虫の防除方法は? また、葉がなくなった枝はみっともないので、切ろうと思うが、どうか?
A6.マツ類にはマツカレハと呼ばれる毛虫がしばしば発生し、春~初夏にかけて葉を食い荒らします。常緑針葉樹は丸坊主にされると枯れることがあります。9月頃、幹に筵を巻いておくと越冬のため幼虫が潜り込みます。冬に取りはずして、中の幼虫を集めて殺します。
 葉が食い尽くされた枝は生きていることもあるので、翌春に芽吹くかどうか確認してから処理するのが良いでしょう。

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Q7.サクラに毛虫が多数発生しているが何か?防除法は?

A7.サクラには様々な毛虫がつきます。主な種類と被害時期は以下の通りです。

 

エゾシロチョウ背中は黒で茶色の2本の筋があり、腹面は灰色、毛は白っぽく、短い。
被害時期は5月中旬~6月上旬。成虫は白い美しい蝶。
エゾシロチョウの幼虫
オビカレハ茶色で多数の筋があり、大きくなると頭や背中が青っぽくなる。
被害時期は5月中旬~6月上旬。
オビカレハの幼虫
マイマイガ頭は茶色~灰色、黒い八ノ字の紋がある。体は黒から灰色、
模様は複雑で赤、黄、青、オレンジなどの斑紋がある。
被害時期は6月中旬~7月上旬。
マイマイガの幼虫
モンクロシャチホコ体は赤紫がかった黒。毛は長く淡黄色。
被害時期は8月。
モンクロシャチホコの幼虫

 エゾシロチョウやマイマイガのように食害時期が春~初夏の場合、サクラは2週間ほどで再び葉を付けるのであまり心配する必要はありません。モンクロシャチホコのような夏の食害では再び葉を出すことなく枝が枯れる場合がまれにあります。幼虫をみつけたら取り除いて駆除します。エゾシロチョウの幼虫は枯れ葉を枝に糸で縛り付けて越冬するので、冬の間、枝に枯れ葉が付いているときは除去します。マイマイガは木の幹などに直径2~3cmほどのうす茶色の綿のかたまりのような卵を産み、卵で越冬するので、秋から冬の間に卵を取り除きます。
 なお、これら4種の毛虫の内、マイマイガは卵から孵ったばかりの幼虫のときは毒毛を持ち、触ると皮膚炎を起こします。マイマイガについてはQ23以下をご覧ください。なお、毛虫は毒毛がなくても、毛が皮膚に刺さる可能性があります。幼虫を取り除くときはゴム手袋をしてください。
 薬剤で防除する場合には、取扱説明書に従って使用し、周辺に飛散しないよう注意してください。様々な樹木に広く適用できる普通物(人畜毒性が低い物質)の農薬としては、MEP(スミチオン)乳剤、アセフェート(オルトラン)水和剤、エトフェンプロックス(トレボン)乳剤などがありますが、適用できる害虫の種類が限られていますので、取扱説明書で確認してください。また、果樹などの食用作物では、使用できなかったり、使用方法が異なったりする場合があるので、取扱説明書で確認してください。

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Q8.ウメの木に毛虫が集団発生し、葉を食害された。害虫の種類と防除法は?
A8.ウメには春から夏にオビカレハやマイマイガが発生することがあります。詳しくは虫害Q7をみてください。

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Q9.サクラの葉に赤くて細長いこぶのようなものがついているが、何か?
A9.サクラフシアブラムシによる虫こぶです。中に小さなアブラムシが群生しています。このアブラムシは秋から春の間はサクラで生活し、夏はヨモギの上で生活します。従って、周囲のヨモギを除去することで、被害を減らすことができると思われます。また、罹病葉を発見次第もぎ取って廃棄しておくと被害を減らすことができます。もっとも、木を衰弱させるほど多発することはありません。

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Q10.ハシドイの枝が粉のようなものに覆われ真っ白になっているが、何か?
A10.イボタロウムシと呼ばれるカイガラムシの1種です。夏に白いロウを出しますが、落葉後に被害に気づくことが多いです。白い枝を切除・廃棄することで、駆除できます。
 なお、白い部分は蝋(ロウ)で、これを熱で溶かし冷水中で固めたものをイボタロウ(虫白蝋)といい、昔はロウソク、止血剤などに用いられたそうです。

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Q11.ツツジやシャクナゲに寄生するカイガラムシの種類と防除法は?
A11.ツツジコナカイガラムシが知られています。長さ3mmほどの小判型で、白い粉で覆われています。幼虫で樹皮の割れ目などで越冬し、春、新芽に群がって加害したのち、葉に移ります。加害により成長が衰え、すす病を併発します。
 白くよく目立つ虫なので、ブラシなどで擦り落として駆除します。

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Q12.ハマナスの葉裏に8月に丸いこぶがたくさんついているのを見つけたが、何か?
A12.ハマナスハタマバチという虫がつくる虫こぶです。その中に幼虫が入っています。成虫は5月下旬~6月上旬に発生し、葉に卵を産みつけます。孵化した幼虫は虫こぶの中で成長します。虫こぶは9月下旬に落下し、その中で幼虫は越冬します。
 被害により木が衰弱するようなことはありませんが、気になるときは虫こぶを取り除きます。秋に落下した虫こぶ集めて処理するのもよいでしょう。

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Q13.カラマツの葉に白いワタのような物がついているのを6月に見つけた。これは何か?
A13.カラマツカサアブラムシです。カラマツでの発生はそれほど多くありませんが、グイマツではしばしば多発します。もっとも、木を枯らすようなことはなく、防除の必要もありません。

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Q14.トドマツ、カラマツ、アカエゾマツの若齢造林地に発生するアブラムシの種類と防除対策は?
A14.トドマツにはトドマツオオアブラムシ、カラマツにはカラマツオオアブラムシ、アカエゾマツにはエゾマツオオアブラムシといった黒っぽい大型のアブラムシ(体長3~4mm)が発生します。トドマツとアカエゾマツの稚樹はアブラムシの被害により枯れることがあります。カラマツの稚樹は成長が早いためアブラムシの被害で枯れることはありません。ただし、気象条件や立地条件が厳しく、成長が悪い場合は枯損の心配があります。
 春~初夏にジメトエート粒剤を根元の周囲約10~15cmの円内に散粒し、かき起こしするか軽く覆土します。

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Q15.カラマツに発生しているヒラタハバチ類について知りたい。
A15.道内ではニホンアカズヒラタハバチ、カラマツヒラタハバチ、ニホンカラマツヒラタハバチの3種が発生しています。いずれも北海道ではこれまで分布の記録がなく、最近本州から侵入したものと考えられています。ニホンアカズヒラタハバチとカラマツヒラタハバチは1994年に道央(石狩や胆振東部)で、ニホンカラマツヒラタハバチは1993年に道東(弟子屈町など)で突然大発生しました。2005年現在、被害はほぼ終息しました。
 これらヒラタハバチ類は食葉性の害虫です。食害により直接カラマツが枯れることはありませんが、激害が3年続いた林でカラマツヤツバキクイムシの2次被害による枯損の発生が観察されています。
 いずれの種も成虫は6月頃出現し、幼虫は7月頃カラマツの葉を食害します。大発生地では7月下旬~8月上旬頃、カラマツが葉を失って赤くなりますが、2~3週間後には再び新葉を展開します。

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Q16.カラマツの球果を加害する害虫の種類と、被害球果の見分け方を知りたい。
A16.主な害虫はカラマツタネバエです。被害球果は変形しており、一部が褐色に変色し、正常なものに比べて小さいといった特徴があります。

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Q17.カラマツヤツバキクイムシの被害危険区域を知りたい。
A17.春から夏に気温が高い地域で主に被害が発生します。北見地方や上川地方といった内陸の盆地が危険な地域です。

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Q18.カラマツ林分の一部を皆伐し放置しておいたところ、翌年、近くのカラマツ生立木がカラマツヤツバキクイムシの加害で枯損した。今後の対処法は?
A18.カラマツ丸太を放置しておくと、そこでカラマツヤツバキクイムシが大量増殖し、周囲のカラマツ生立木を加害するようになります。ただ、通常、キクイムシの数は非常に少ないので、一度くらいの放置では生立木被害を起こすほど増加しません。周辺林分も含め、伐倒放置や風雪害による枯損が2~3年継続すると、キクイムシが徐々に増加し、生立木を加害するようになります。
 被害を予防するには丸太を林内に放置しないことが重要です。搬出できない場合は剥皮するのが最も有効です。
 キクイムシの被害を受けた生立木は普通、伐倒せず放置します。これは、伐倒により周囲の無被害木が傷つき、キクイムシの加害を受けやすくなると考えられるからです。苗木を植え込むなどのため、被害木の伐倒を要する場合は、周囲の無被害木を傷つけないよう注意し、伐倒後は剥皮して、中の虫にMEP乳剤を散布して駆除します。

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Q19.カラマツが5月に真っ赤になった。害虫の種類と生態を知りたい。
A19.5月中旬~6月上旬頃にカラマツを赤くする害虫は、カラマツツツミノガです。年1回発生し、幼虫で越冬します。幼虫は小さな蓑虫で、春、カラマツの開葉とともに食害を開始します。成虫は6月に出現します。孵化した幼虫は針葉内に潜って食害し、大きくなると蓑虫になります。落葉期にミノを枝に固定し、その中で越冬します。
 被害は夏には緑を回復するので分からなくなります。カラマツを枯らすことはありません。しばしば、広域に大発生しますが、1~2年で終息します。

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Q20.ツガカレハの被害と、その防除法を知りたい。
A20.ツガカレハは、森林や防風林のトドマツで多発し、木を枯らすことがあります。ツガカレハが多発した場合、秋から食害が目立ち、翌春に激しい食害が起きるのが普通です。また、秋のうちから林が丸坊主になることもあります。
 防除法としては、秋に幼虫が目立つようであれば、幹にすべりやすい幅広いテープを隙間なく巻くと、春に登ってくる幼虫はすべって登れなくなります。テープは、ササなど下草より高い位置に巻くこと、そしてトドマツに隣接する他の樹木にも巻くことが必要です。

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Q21.工場土場に「シラフヨツボシヒゲナガカミキリ」が発生しているので、その防除法は?
A21.皮を剥ぐことが一番の防除法です。薬剤散布はスミチオン乳剤400~800倍液を散布するのが良いでしょう。薬剤期間は約1ヶ月あり、その期間に虫が接触すれば、十分効果があります。

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Q22.オオゾウムシの被害対策について知りたい。
A22.針葉樹や広葉樹の丸太や伐根に穿孔するオオゾウムシは、湿り気味の丸太や伐根を好み、皮付き丸太を積んでおくと、内側にあるものが被害を受けやすいといわれています。乾燥した材や剥皮した材は加害しません。
 予防としては、丸太を土場に置く期間はできる限り短くし、長くても1年を越えないことが重要です。また、被害木を製材した際にでる端材に幼虫が残っている可能性があるので、端材も放置せず早めに焼却などして処理します。

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Q23.マイマイガの被害や防除について知りたい。
A23.北海道におけるマイマイガの被害は1883年(明治16年)から記録があります。大発生は11年内外の周期で起きるといわれています。
マイマイガの幼虫は5~7月に葉を食害します。カラマツやカンバ類など落葉樹で激しい被害が発生しますが、枯れることはほとんどありません。幼虫は落葉樹を食べつくすと、近くにある常緑針葉樹、農作物、草本などを食害することがあります。
雌成虫は8月上中旬頃の夜間、照明に集まり問題になることがあります。また、雌成虫は照明近くの壁や電柱などに産卵します。翌春に卵から孵化した幼虫に触れると皮膚炎を起こします。孵化幼虫は風に乗って分散するため、人に付着したり、家屋内に侵入しやすく、注意が必要です。

 生態・被害・防除の詳細については、こちらをご覧ください。
 →マイマイガの生態・被害・防除 Q&A (PDF,630KB)

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Q24.カラマツハラアカハバチの生態や被害について知りたい。
A24.最近、カラマツの葉を食べるカラマツハラアカハバチの被害が発生しています。カラマツハラアカハバチの成虫は7月下旬~8月中旬に現れ、カラマツの若い枝に産卵します。幼虫は8月から9月上旬ころまで葉を食害します。十分成長すると土に潜り繭になり、越冬します。
 被害によりカラマツが枯れることはほとんどありませんが、食害後に台風などによる塩風害が発生したり、幹に潜るカミキリムシやキクイムシの被害が発生し、木が枯れた記録が数例あります。 

 生態・被害・防除の詳細については、こちらをご覧ください。
 →カラマツハラアカハバチの特徴・生態・被害について (PDF,935KB)

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