現在進行中の研究課題
植生回復を阻害する凍上現象の検出
植栽回復が見られない崩壊斜面において、土壌表面を自動かつ連続的に監視することで、凍上に伴う土壌表面の隆起が繰り返し起こっている様子が捉えられ、植生回復を阻害する要因の1つであることが確認されました。
凍上した土壌表面の断面 抽出した霜柱
植生回復阻害要因の特定
土壌表面の変化を地上で観察するシステムを構築する予定です。土粒子の移動に代表される地表面の変化を立地環境や気象イベントと照らし合わせ、植生回復を阻害する要因を定量的に評価します。評価の結果は植栽方法の選択や自然回復予測に役立てられます。
気象観測機器 土壌表面観測プロット
自然回復区域の把握・評価
林業試験場は、地震後の自然回復区域を把握・評価するための調査を実施する予定です。調査により、自然回復が進んでいる区域とそうでない区域の違いが明確になり、適切な管理方法の策定に役立てることが期待されます。
崩壊斜面の経年変化の観察
発災直後より実施している植生調査およびUAV(ドローン)を用いた空撮を行い、崩壊斜面の被覆の経年変化について、モニタリングを継続します。また、衛星画像やLiDARデータなどを複合的に用いることにより、詳細な植生回復情報の収集も行っています。
図. 厚真町(東和地区)における植生被覆の推移(ドローンによる空撮画像)
参考文献
●学術論文(査読あり)
Ohkubo, S., Hayamizu, M., Iijima, T., & Kondou, S. (2025). Usefulness of time-lapse camera for evaluating frost heave on bare mountain slopes. Measurement, 116750.https://doi.org/10.1016/j.measurement.2025.116750