材料技術部 飯野 潔・片山 直樹・斎藤 隆之・赤沼 正信
■支援の背景道東弟子屈町の川湯温泉は強酸の硫黄泉で非常に腐食性が強いことを特徴としています。温泉ホテルでは温泉の熱源利用を目的にプレート式熱交換器を用いていますが、 温泉水でプレートが腐食することが課題となっており、施工業者であるＡ社より、耐食性の向上について技術支援を依頼されました。
■支援の要点
１． 現状の腐食状況の把握
２． チタン製プレートの表面処理方法の検討
３． 評価試験方法の検討と実施
プレート式熱交換器
熱処理を施したチタン製プレート（低温処理）
熱処理を施したチタン製プレート（高温処理）
■支援の成果
１．道内の熱処理メーカにおいて、チタン製熱交換器用プレートに複数の条件下で熱処理を行いました。
２．熱処理された試験プレートを温泉施設の熱交換器に設置し、６ヶ月間の連続稼働実験を行いました。
３．試験前後のプレート厚さの変化を評価し、熱処理無しでは100μm以上の減肉が認められたのに対し、熱処理品にはいずれも腐食による減肉がないことを確認しました。
４．強酸環境下におけるチタン製プレートの耐食性向上として、熱処理による酸化皮膜形成が有効であることを見出しました。