技術支援成果15/エネルギー関連技術
技術支援成果15/エネルギー関連技術
派遣指導
寒冷地向けEV自動車用冷暖房技術の開発
Development of Air Conditioner of Electric Vehicle in Cold Region
ものづくり支援センター | 岡 喜秋・保科 秀夫 |
材料技術部 | 片山 直樹 |
情報システム部 | 新井 浩成 |
■支援の背景
炭酸ガス排出による地球温暖化、石油資源の枯渇などが大きな社会問題となる中で、 電気自動車の需要が高まりつつあります。電気自動車は石油資源を直接燃料としないため、 炭酸ガスなどの排ガスを出さないことが大きな理由と考えられます。 道内で電気自動車の開発を進めている企業の一つであるヱル電(株)から、 電気自動車の暖房に関する相談がありました。 一般に電気自動車の冬期間の暖房は、蓄電池の電気を使用する電気ヒータで行っております。 北海道のような寒冷地では冬期間の暖房に多量の電力を消費するため、車両の走行距離が大幅に低下します。 このため、ヱル電(株)の試作した電気自動車はガスエンジン駆動型の小型発電機を非常用として搭載しています。 このガスエンジンからの冷却廃熱を回収するヒートポンプを試作し、暖房効果を検討することとしました。
■支援の要点
- 廃熱回収型のヒートポンプの設計及び試作
- エンジン冷却廃熱を回収する熱交換器の検討
- ヒートポンプ各部の温度測定及び検討

■支援の成果
- 冷房用として車両に搭載されている圧縮機はエンジンによりVベルトで駆動されておりますが、 電気自動車用の圧縮機は電気モータと圧縮機が一体となったタイプが多く使用されています。 そのため、蓄電池の直流で駆動できるモータ一体型の圧縮機を使用しました。
- 非常用エンジンの冷却は空冷式であるため、エンジンを冷却した空気からヒートポンプにより廃熱を回収しました。 そのため、中央の写真に示す空気熱交換器をヒートポンプの蒸発器として使用しました。
- ヒートポンプの各部温度を測定した結果、暖房可能な35~45℃の温風温度を得ることができました。 エンジン発電機が作動しているときにしか暖房できませんが、 今後、車内換気廃熱からの熱回収についても検討する予定です。
ヱル電(株) 札幌市東区北33条東18丁目3-15 Tel.011-780-4455