環境エネルギー部 富田 恵一・若杉 郷臣・長野 伸泰
技術支援センター 高橋 徹
技術支援センター 高橋 徹
■研究の背景
北海道においてホタテガイは重要な水産物ですが、その加工に伴ってウロと呼ばれる中腸腺などが大量に廃棄されています。一方、この中腸腺は特定の 金属などを生体濃縮することが知られています。ここでは、この性質を利用した金属吸着剤を試作し、各種特性を明らかにして、とくに有効性が期待される貴 金属吸着剤としての用途である、廃電子基板からの金の回収に関する検討を行いました。
■研究の要点
1.劣化の要因と考えられる油脂分の除去と寿命の検討
2.各金属元素の吸着特性の把握
3.貴金属吸着剤としての各種条件の検討
4.廃電子基板の酸浸出液からの金の回収の検討


1.ホタテガイ中腸腺からエタノール脱脂、酸洗浄により金属吸着剤を試作しました。
試作吸着剤は、冷蔵庫内で数ヶ月以上保存可能なことを確認しました。
2.pHによる各種金属の吸着率の変化を明らかにしました。とくに、pH1の塩酸酸性下ではパラジウム、
白金、金に対してのみ強い吸着能があり、卑金属はほとんど吸着しないことがわかりました。
3.試作吸着剤の金の吸着に対する最適酸濃度、使用可能な金濃度、共存元素の影響など
各種吸着特性を明らかにしました。
4.廃電子基板を焙焼し、王水で金属元素を浸出させた液を用いて吸着試験を行ったところ、
多量の銅、鉄、すず等の存在にもかかわらず、金を選択的に回収することができました。
※本研究で使用した純水製造システムは、JKA補助事業により整備されました。