情報システム部 新井 浩成・浦池 隆文・大村 功
■研究の背景エネルギーハーベスティングとは環境中に存在する各種エネルギーから電力を生成することで、 広い意味では既に実用化されている太陽光や風力などがあります。欧米では20年以上前から運動エネルギーなどを 対象とした電力生成技術に関する研究が進められています。この技術はこれまで得られる電力が僅かであるため 日本国内では殆ど注目されていませんでしたが、最近では省電力な半導体で構成される電子機器の電力源として 適用事例が出始めています。
そこで、自動車走行時の振動を想定した車載向けエネルギーハーベスティングシステムの構築について検討しました。
■研究の要点
1.共振現象を得るための機械設計や振動解析
2.蓄電回路の省電力回路設計・評価
3.車載向けエネルギーハーベスティングの開発と検証

エネルギーハーべスティングシステムの構成 JIS Z0232ランダム振動試験結果
1.梁を対象に機械設計・振動解析を行った結果、片持ち梁で先端部に錘を付けたカンチレバー構造の振動体が 数Hz程度の共振現象を得る際、効率的であることを確認しました。
2.電気二重層コンデンサ、省電力型DC-DCコンバータなどで構成される蓄電回路の設計・試作をしました。
3.圧電素子を貼り付けた振動体と蓄電回路で構成されるエネルギーハーべスティングシステムの検証として、 振動試験装置を用い、自動車運送を模擬するJIS Z0232に基づくランダム振動試験の結果、共振現象が発電 (蓄電)量増加に寄与することを確認しました。
4.電子機器の電力源としてエネルギーハーベスティング技術の活用を目指して行きます。
北海道大学