環境エネルギー部 髙橋 徹
■研究の背景現在、ディスプレイや展示用用途に使われている高演色性白色LED照明の需要が伸びています。 しかし、現在使用されている赤色蛍光体は明るさが弱いため、全体的な明るさが弱く、 色むらが発生する欠点を有しています。本研究では新規赤色蛍光体として有望視されているタングステン酸 ユーロピウム(Eu2O3・nWO3)の合成法について検討しました。 タングステン酸ユーロピウムは、蛍光管用フィラメントに使用されているタングステンと蛍光管用蛍光体に 含まれるユーロピウムを利用して合成可能であることから、廃棄物の有効利用、循環型社会形成に貢献できます。
■研究の要点
1.乾式法によるタングステン酸ユーロピウムの合成法の確立
2.合成した赤色蛍光体の近紫外部での発光、結晶形態及び粒子形状等の評価
3.使用済み蛍光管に含まれるタングステン及びユーロピウムの原料としての可能性調査

合成した赤色蛍光体の発光 合成した赤色蛍光体の発光スペクトル
(励起波長365nm)
1.LED照明用赤色蛍光体の合成法を確立しました。
2.合成したLED照明用赤色蛍光体(Eu2O3・nWO3)は、粒径5mmの良好な焼結体であり、近紫外部で赤色に発光することが分かりました。
3.蛍光管中に含まれるタングステンフィラメント及び蛍光体に含まれるユーロピウムは、LED照明用赤色蛍光体の原料として使用できることを確認しました。