第46回 暮らし方と省エネルギー

私たちは何ワットで暮らせるか? ~住まいと省エネルギー~

2014年10月24日
建築研究本部 北方建築総合研究所 立松 宏一

こんなお話をしました

  私たちの生活に関わる衣・食・住の中でも、とりわけ「住」の部分では、暖房や給湯、家電などに大量の化石燃料由来のエネルギーを使用しています。これらのエネルギー消費を減らしていくことは、私たちひとりひとりが取り組まなければならない大きな課題です。

  • 暖房について
  暖房の省エネルギーのためには、まず住宅の断熱性能を良くすることが重要です。最近の北海道の戸建住宅の外壁の断熱厚さは120~130mm程度が主流ですが、さらなる高断熱化(外壁の断熱厚さで300mm程度)で暖房エネルギーを半分程度まで減らすことが可能です。また温度設定の影響も大きく、1℃下げることで1割程度暖房エネルギーを減らすことができます。窓から直射日光が入る場合には、レースカーテンを開けて日光を取り入れることも有効です。
  暖房機器による効率の違いもあります。ガスや灯油によるセントラルヒーティングは、近年潜熱回収型の機器(エコジョーズ、エコフィール)が発売され、効率が向上しました。電気暖房を採用する場合には、ヒーター式の蓄熱暖房機や電気パネルヒーターではなく、ヒートポンプ機器を選ぶことが重要です。近年ではエアコン(ヒートポンプの一種)で暖房を行うケースも増えています。
  集合住宅では空き家が多くなると暖房の効率が悪くなります。公営住宅では、空き家が増えた住棟を集約することにより暖房費を節減した取り組みも出てきています。
  • 給湯について
  浴室や台所などの給湯にも多くのエネルギーを消費しています。給湯機は、暖房と同じく電気ヒーター式の電気温水器は避けることが望ましく、エコフィール(石油)、エコジョーズ(ガス)、エコキュート(電気ヒートポンプ)については大きな差がありません。
  また、給水温度の違いにより、夏と比べて冬の給湯エネルギーが大きくなります。さらに、空気から採熱するエコキュートは、夏と冬の差がより大きくなるため、翌朝冷え込みが予想される場合にお湯使用量を控えることも効果があります。
  • 換気について
  過大な換気は暖房エネルギーを増加させます。レンジフードや風呂、トイレなどの局所換気は、こまめに止めましょう。一方、夏は、夜間や朝方の涼しいときに積極的に窓を開けて通風を行うことで、昼の室温上昇を抑えることができます。
  • 省エネの実践に向けて
  家電の消費電力は市販のワット計で調べることができます。また、エネルギーを見える化するHEMSと呼ばれる機器の普及も進んでおり、既存住宅にも取り付けることが可能です。これらの表示機器で自宅のエネルギー消費状況を把握することで、効果的な省エネルギーの実践が可能になります。
  当日のセミナーでは、一年間の連続使用にならして一人当たりのエネルギー消費を表す単位としてW(ワット)を用い、以上の内容を具体的に紹介しました。

質問にお答えします 

質問

回答

1

省エネで、LEDの生活と節電は、どのように使われていると思いますか。

  照明に関してはセミナーで詳しく説明しませんでしたが、LEDは費用対効果が特に大きな省エネ手法だと思います。購入費用と電気代を合計したコストでは、一般的な条件において5か月で白熱電球とLED電球のコストが逆転、約3年で電球形蛍光ランプとLED電球のコストが逆転すると試算されています(電気代22円/kWh、点灯時間2,000時間/年の場合。出典:「おうちで省エネ」(経済産業省北海道経済産業局))。

2

本州は冬18℃だが、北海道で冬18℃だと寒いのは何故?

  北海道における冬季の居間の日平均温度は21~22℃程度で、多くの方がこのくらいの温度を快適と感じているようです。本州の住宅とは暖房方式の違いがあり、一概に比較することはできません。かつて北海道の住宅の断熱・気密性能が低かった時代には、天井や壁の表面温度が低いことや、足元が寒い影響により、室温を高くしなければ体感として低く感じると言われていました。また、本州では厚着をすることやこたつを用いることによって室温が低く抑えられているという分析もあります。
  また、現在本道ではセントラル暖房などの全室連続暖房が普及していることからも、住宅全体(居室以外の脱衣室、玄関ホールなども含めて)の冬季の日平均温度は、本州と比べて高くなっています。
  ただし、冬季の室温を下げた場合は、寒さによるストレス、入浴回数の増加、脳血管疾患のリスク増など、マイナスの影響も考えられることから、無理のない範囲で、暖房の無駄を省いていくことが望まれると考えています。

3

北海道では、高断熱・高気密住宅の優位性が、本州と比べてかなり高いと思われるが、そこまではやらないのは何故?

  現在のトップランナーの断熱レベルとしては、外壁の断熱厚さで300mm程度の住宅が、技術的にも問題なく建設されています。しかし、新築住宅(戸建)の平均としては、外壁の断熱厚さが120~130mm程度で、国が地域ごとに定めている基準よりもやや断熱性能が良いという程度に留まっています。
  ではなぜ、みなが最高の断熱水準を目指さないかというと、住宅建設時のコストの問題が大きいと考えられます。当研究所が工務店を対象として実施したアンケートでは、コストを抜きにすれば断熱性能をもっと良くしたいという回答が多く得られています。コストの問題に対しては、従来から割増融資、補助金など様々な誘導施策が実施され、徐々に断熱性能が高まってきました。今後も当面は高断熱化の方向が続いていくと思われます。
  一方、北海道が高断熱・高気密で本州に比べて優位にあるのは事実ですが、近年、電気ヒーター式の暖房、給湯機器の増加により、断熱性能が向上したにもかかわらず一次エネルギー消費量(化石燃料の消費量。電気の場合は発電所で消費する化石燃料の量)が増加しているケースが目立っており、断熱性のみならず、設備機器の選択も省エネルギーを考える際に重要なポイントになります。


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