水産研究本部

試験研究は今 No.9「スケトウダラは主に何を食べているか。また、産卵は1回かぎりか」(1989年10月27日)

試験研究は今 No.9「スケトウダラは主に何を食べているか。また、産卵は1回かぎりか」(1989年10月27日)

Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A スケトウダラは、主に何を食べていますか。また、産卵は一回かぎりですか。

製造過程
  スケトウダラは、1年のうちで、特に多く餌をとる時期があります。その時期は海域によって若干違いますが大体6月から9月頃までで、この期間を一般に索餌期と言います。しかし、冬に産卵のため接岸(産卵期)してくる群はあまり餌を食べていません。

  稚魚の頃のスケトウダラの餌は動物プランクトンの卵や幼生、植物プランクトンが多く、未成魚期には動物プランクトンを多く食べているようです。

  成魚になると、稚魚や未成魚期のときよりも大きな餌を食べていますが、一番よく見られるのがオキアミ類(いさだ)です。特にオホーツク海や日本海の漁獲物の胃内容物はほとんどがオキアミと言ってよいほどです。このほか、端脚類(横ノミ)やエビ類、スケトウダラの成魚・未成魚を共喰いしたりしています。

  次に何回産卵するかということですが、サケのように一生に一度産卵するのではなく数年にわたって産卵します。これは、産卵後の魚に標識をつけて放すと翌年また産卵群として採捕されることや、卵巣を顕微鏡で観察した結果などからわかります。産卵場での漁獲は4歳から8歳くらいまでの魚体が多いので、この間が産卵する年令だと考えられます。

  卵巣の中には20万から50万の卵粒がありますが、一回の産卵期に何回かに分けて産卵しています。これは成熟した卵から順に産卵するためであり、飼育観察では、2~7日間隔で8~10回に分けて産卵することが確認されています。

  また、産卵が行われるのは昼間で、海底近くで放出された卵は受精後浮上し、表層近くを14~40日位浮遊し、ふ化します。ふ化したときの体長は3~4ミリメートルと言われています。
(函館水試)

トピックス

道南太平洋海域のスケトウダラ漁況結果まとまる

密度分布
  道南太平洋海域のスケトウダラ漁況予測(平成元年10月~2年3月)が函館水産試験場から発表されました。これは、渡島・胆振スケトウダラ刺網漁業協議会と部会等の協力を得て、当業船10隻による9月8~9日の漁期前調査の結果などをもとに作られたものです。

【1:魚体】
  • 5才魚(平均体長39センチメートル台)が主体となり、これに4才魚(同36センチメートル台)と6才魚(同42センチメートル台)が加わるでしょう。
  • 3才魚(同33センチメートル以下)も出現しますが、主に底曳網で対象になるでしょう。7才魚以上の比率は低くなります。

【2:漁場形成】

  • 1:産卵前期
    • 10月は179、182、185、189、192、193海区の水深200~350m付近海域が中心となり、その後水深200m以浅の陸寄りに移るでしょう。
  • 2:産卵期
    • 産卵群の接岸は1月頃と推定され、主に100メートル以浅の水深帯に形成されるでしょう。

【3:来遊資源量水準】
  • 昨年度の水準を下回る来遊量になると判断されます。
(函館水試)

道立試験研究機関公開講座が開催される

  10月21、22日の両日、函館市の北海道工業技術センターで研究機関公開講座が開催され、1,200名余りの市民が訪れました。この公開講座は道立の各研究機関がそれぞれの研究成果を広く道民の皆さんにお知らせし役立ててもらおうと、昭和61年から毎年1回開催しているものです。水産関係では、ふ化場、水産試験場、栽培センターが参加し、暮らしに役立つ身近な話題をもとに講演やパネル展示、試食コ一ナー等を設け市民の関心を集めました。
(函館水試)