水産研究本部

試験研究は今 No.14「ホッケの回遊状況について」(1989年12月15日)

試験研究は今 No.14「ホッケの回遊状況について」(1989年12月15日)

Q&Aは平成元年度水産試験研究プラザの質問からです。

Q&A ホッケの回遊状況について教えてください。

  ホッケは、酒の肴や釣りの対象として北海道では一般的な魚です。主に本道周辺水域に分布し、全国の漁獲量のほぼ8割を占めています。しかし、近年、その漁獲量は急激に減少しており、今後の資源動向について注意をしていく必要があります。
  本道周辺のホッケは、これまでの研究から「道北群」「道南群」「太平洋群」「沿海州群」の4つの系統群に区分されています。ここでは、これらのうち、漁獲量が最も多く、生態的知見も蓄積されている「道北群」について述べたいと思います。
    • ホッケの回遊状況
ホッケの産卵は水深35メートル以浅の岩礁地帯で行われ、主に天売・焼尻島、武蔵堆、利尻・礼文島、モネロン島及び樺太西岸に産卵場が形成されます。秋に産卵された卵は、1~2か月経過したのち孵化し、その後、成長にともない分布域は大きく変化します。

稚魚は1~2か月の間、産卵場を中心に分布していますが、次第に沖合に移動し、日本海側では春~夏に石狩から間宮海峡にかけて、オホーツク海では夏には網走湾以北にかけて広く分布しています。この間は、アオボッケと呼ばれ、表層で生活していますが、秋には陸棚上に着底し、漁獲の対象となっていきます。

  この魚群がローソクボッケと呼ばれるものであり、体長20センチメートル前後に成長し、秋~冬にオホーツク海南西域や樺太南西岸から石狩湾にかけての日本海の陸棚を中心に分布し、沖合底びき網で漁獲されています。これらの魚群のうち、オホーツク海の一部は冬に日本海側に移動しますが、大部分はあまり大きな回遊はせず、それぞれの水域にとどまります。
春になると、体長25センチメートルほどに成長し、いわゆるハルボッケと呼ばれるようになり、北見沿岸や利尻・礼文島周辺、武蔵堆の水深の浅い所と分布し、底建網や施網によって漁獲されます。その後、オホーツク海のハルボッケの一部はローソクホッケと同様、日本海に移動するものもありますが、ほとんどがその周辺の陸棚縁辺域に分布し、沖合底びき網や刺し網で漁獲されています。秋には一部が成熟し、産卵場に移動します。

  成魚になってからは、深浅移動が主体になり、産卵期以外は産卵場周辺の水深130~180メートル位の陸棚縁辺域に分布し、刺し網や底建網で漁獲されています。したがって、未成魚時代(2歳未満)のホッケは「回遊性」の魚、成魚(2歳以上)となってからは「根付け」の魚であるといえるでしょう。
(稚内水試)

トピックス

「日高支庁管内漁業士会」が設立される

  本年6月の「桧山漁業士会」(会長斉藤誠指導漁業士)の設立に続いて、11月、日高支庁管内でも漁業士会が設立されました。会の名称は「日高支庁管内漁業士会」、会長には日田隆吉指導漁業士、副会長に渡辺勇次青年漁業士の各氏が就任されています。道としても、これらの漁業士会の活動を大いに支援していきたいと考えています。また、漁業士制度も発足して4年目、今後、こうした会がそれぞれの地域に自発的に結成されることを期待してしています。
(水産部)

前号の解答~クロスワード・クイズ

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