水産研究本部

試験研究は今 No.28「漁家にもできるチカの甘露煮の作り方について」(1990年4月20日)

試験研究は今 No.28「漁家にもできるチカの甘露煮の作り方について」(1990年4月20日)

Q&A? 漁家でもできるチカの甘露煮の作り方について教えてください。

  甘露煮は、佃煮とは異なり、身のやわらかな豊潤な味を出すところに特徴があります。チカは、甘露煮としてあまり利用されていませんので、チカに似ているワカサギを原料にした甘露煮の作り方について紹介しますので参考にしてください。

  原料とするチカは大きめのものを用いると良いと思います。調理の順序は次の通りです。
  • 乾燥: 魚を煮たとき、身くずれを防ぐために行うもので、天日で約1時間、魚の表面の水を切る程度ゆるめに乾燥します。
  • あぶり焼き: 魚の表面にこげめが付く程度、遠火で焼きます。
  • 煮かごに配列: 煮る方法は身くずれを減らし、熱と調味液を浸透させるため、浮し煮が良く、ナベにあった煮かごを用意します。魚は煮かごに合わせて魚の背中側を上にして円形に並べます。1段目が並べ終わったら仕切りをし、2段目を配列し、順次積み重ねます。
  • 水炊き: 骨をやわらかくするために水炊きをします。煮かごに入れた魚がつかるまで水を注ぎ、1時間半程度煮ます。煮ている途中に差水をして水位を保つようにします。
  • 味付け: 水炊きが終わったら、その残りの水は捨てて、新たに水を加えて味付けをします。始めに原料魚の重さの2割程度の上白砂糖を加えて(原料魚1キログラムに対して200グラムの砂糖を加えます)、40~50分煮込みます。次いで煮込み具合を見ながら、上白砂糖、しょうゆ、みりん、水飴などを徐々に加えて約2時間煮込みます。最初からすべて加えて煮込むと身の硬いものとなり、調味の浸透も悪くなるので注意が必要です。
原料魚1キログラムを用いる場合の最終的に使用する調味料の配合例を示します。
  • 上白砂糖    400グラム
  • 淡口しょうゆ  180ミリリットル
  • みりん     200ミリリットル
  • 麦芽水飴     20グラム
  • 化学調味料     4グラム
  • (グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダなどを配合したもの)
  できあがった甘露煮はふた付きの容器にていねいに並べ、冷蔵庫に保管します。家庭用冷蔵庫の冷凍室(-18度)に貯蔵すると1年以上の賞味期間があります。
(釧路水試 加工部)
    • チカの甘露煮の作り方

チカとワカサギについて

チカとワカサギの違い
  両種は、サケの仲間のキュウリウオ科に属する魚で外見は非常に良く似ています。

  主な見分け方ですが、チカは、腹ビレの付け根の位置が背ビレが始まる部分の真下より後にありますが、ワカサギでは真下か前にあります。魚によっては、まぎらわしいものもありますので、専門的には脊椎骨の数や側線の鱗の数などで厳密に区別します。

  また、ワカサギは日本各地に広く分布し、内陸でも生活していますが、チカは本州の南部にはおらず、ワカサギのように産卵のため川にのぼることはありません。

トピックス

水産試験研究プラザ開催のご案内

  十勝、留萌、宗谷の3地域で水産試験研究プラザを開催しますのでお知らせします。各地域ともいろいろな話題を用意していますので、ぜひご参加ください。

  十勝地域水産試験研究プラザ

  4月23日(月曜日)午後1時30分から帯広市のウェディングプラザ宮本(帯広市東2条南9丁目)で開催。昨年度のプラザの経過報告につづいて、カジカ類の利用加工、ホッキガイの増殖、スケトウダラの資源についての報告があります。

  留萌地域水産試験研究プラザ
  4月20日(金曜日)午後2時から留萌市のニューホテルカクセソ(留萌市開運町1丁目)で、全体会議の後、資源、増殖、加工の各分科会に分かれて開かれます。

  宗谷地域水産試験研究プラザ
  4月24日(火曜日)午後1時より稚内サンホテル(稚内市中央3丁目9番地)において開催されます。当日は漁業資源部門、増殖部門、加工部門からこれまでの研究課題についての成果報告のほか、新規に行うミズダコ保育場造成の技術開発等についての報告があります。