水産研究本部

試験研究は今 No.31「ウニとアワビの年齢について」(1990年5月25日)

試験研究は今 No.31「ウニとアワビの年齢について」(1990年5月25日)

Q&A? ウニとアワビの年齢はどのようにしたらわかるのですか。

  ウニは下側に口が、頂上部に肛門があり、その肛門の周辺に生殖板という五つの穴のあいた殻板があります(図1)。ウニの年齢は、この生殖板に形成される輪紋の数により知ることができます。
    • 図1
  調べる方法は、はじめにウニの頂上部のとげを落とし、ハサミあるいはコルクホーラーなどにより、肛門周辺部の殻を取り出します。そして、その殻の表面全体を砥石で平坦になるまで入念に磨き、その後、若干、焦げるぐらいまで加熱します。そして、キシレンという液体の薬品につけて顕微鏡でみると、生殖板中に木の年輪のような輪紋(黒色帯)が見えます。この輪紋は、中心部から外縁部に向かって第1輪紋(1齢)、第2輪紋(2齢)・・・と読んでいきます(図2)。この作業の中で、特に生殖板を磨きすぎたり、加熱しすぎたりすると輪紋が見えなくなってしまうので注意する必要があります。
    • 図2
  この輪紋は、夏から秋にかけて年一回形成されるために年齢を示す標識になるわけです。しかし、オホーツク沿岸や太平洋沿岸のウニでは輪紋が年に1回以上形成されるのではないかともいわれており、今後明らかにしていく必要があるでしょう。

  アワビの場合は、年二回、貝殻の表面に年輪を形成します。その時期は、生殖巣が成熟して産卵する夏から秋にかけてと、水温の低くアワビの成長が停滞する冬の二回です。特に北海道では冬に明確な年輪が形成されるため、これを数えることにより年齢を算出します。殻頂部から貝殻縁辺部に向かって形成されている輪紋を第1輪紋(1齢)、第2輪紋(2齢)・・・と読んでいきます(図3)。
    • アワビの輪紋
  調べる方法としては、貝殻全体を450~500度の高温下で10分ほど熱処理して年輪のところから分離させる方法や、塩酸につけて貝殻表面を溶かして真珠層だけを残して輪紋を計数する方法もありますが、貝殻の付着物を金ブラシなどで除去したあとに電灯下で透視して輪紋を判読する方法や付着物を除去して輪紋を直接計数する方法が一般的に行われています。

  ウニもアワビも若齢のうちは成長量が大きく、輪紋間隔が広く現れますが、高齢になるほど輪紋間隔が密になり、年齢査定が難しくなってきます。また、磯焼け地帯のように餌の量が少ないところに生息するものも成長が悪く、輪紋がこみあっています。
(中央水試)