水産研究本部

試験研究は今 No.37「北海道周辺の海流について」(1990年7月20日)

試験研究は今 No.37「北海道周辺の海流について」(1990年7月20日)

北海道周辺の海流について

海流の模式図
  北海道周辺には、主に図に示したような5つの海流があります。
  このうち対馬暖流は、東シナ海で分離した黒潮の支流で、対馬海峡を通って北上してきます。北上に当たっては、日本海沿岸から沖合にかけて平行して流れる3つの流れがあるとする「三分枝説」と、一本の流れが沖合と沿岸とを行き来しながらジグザグに進むとする「蛇行説」の二つがありますが、流量、流速が小さく時間的にも変動のしやすい対馬暖流を包括的に捉えるにはまだ難しいといえるでしょう。


  この対馬暖流は岸を右にみて流れる特徴があるため、その7~8割は津軽海峡で右に曲がり太平洋に抜けてしまいます。これが津軽暖流で、残りはそのまま日本海を北上し、宗谷海峡でまた右に曲がり、その一部はカラフト西岸にまで達します。

  宗谷海峡からオホーツク海に入った流れは宗谷暖流と呼ばれ、気温が高くなる夏~秋に勢力が強くなります。宗谷暖流が太平洋に出るころには高塩分、高水温という暖流の性質は弱められていますが、それでも道東の沿岸を南西に流れ、襟裳岬沖まで徴かにみられます。

  一方、太平洋に出た津軽暖流は、冬~春にかけての勢力の弱い時期には右に曲がってしまいますが、夏~秋の勢力の強い時期には日高沖まで張り出し右回りの大きな渦になり、ここから派生した流れが日高沿岸や噴火湾内に流入します。

  北海道周辺の寒流の源はオホ-ック海にあり、ここからウルップ水道を経て、太平洋を南西に流れてきたものが親潮です。これは日本近海で最も強い寒流で、道東太平洋沖では一年中流れていますが、沿岸に接して流れる性質はうすく、襟裳岬沖から三陸沖に向かい、そこで反転してしだいに東に流れていきます。

  これとは別に、冬~春にだけ発達する東カラフト寒流があります。この寒流は冬のオホーツク沿岸に流氷を運ぶので、水温も塩分も低く、親潮より沿岸に沿って、宗谷暖流と同じように流れます。オホーツク海から太平洋に出たこの流れは道東沿岸の大陸棚上を南西に流れ、襟裳岬をかわして日高沿岸から噴火湾内まで流入します。一部は恵山岬から函館まで達し、沿岸親潮とか道東沿岸流と呼ばれています。

  また、日本海では定常的に流れる寒流はありませんが、400メートル以深には水温1度以下の「日本海固有冷水」と呼ばれる冷水塊があります。しかし、周りの水域とほとんど交流がないので日本海沿岸に影響を与えることはありません。

  このように北海道は様々な海流に囲まれており、漁場の形成に影響を与えていますので、常時、広範囲に渡る海洋観測のデータが必要となっています。(中央水試)

トピックス

新魚種の名前を探しています!!

新魚種
道は昨年から5か年計画でコレゴヌスという魚種の研究に取り組み、この冬には民間養魚場の協力で種苗生産が開始されることになりました。

  コレゴヌスは寒冷地域に適していながら夏の高水温にも強く、しかも味も姿も良い淡水魚種ですが、在来種ではないために適当な名称がありません。外国では「ホワイトフィッツユ」「シスコ」、日本では「シロマス」とか「ペリヤジ」と呼ばれており、特に長野県では「シナノユキマス」と名付けられ、販売されています。これらの名称では北海道産としてのイメージに適当ではありませんので、北海道に合った名称を一般から公募することといたしました。応募される方は葉書に新名称のほか住所、氏名を明記され、下記宛お送りください。

  なお、最優秀賞者には命名プレート付きレプリカを贈呈いたします。(水産孵化場)

(宛先)
〒061-14 恵庭市北柏木町3丁目373番地
水産孵化場技術指導科 
電話:(0123)32-2135