水産研究本部

試験研究は今 No.44「日本海各地のウニの身入りにの状況について」(1990年9月21日)

試験研究は今 No.44「日本海各地のウニの身入りにの状況について」(1990年9月21日)

Q&A? 今年の日本海では各地でウニの身入りが非常に悪かったと聞きましたが、その状況をお知らせください。またその原因はなんですか。

  ウニ漁業の操業を前に、各地の漁協ではウニの資源状況や身入りなどを見るために事前調査を行いますが、その中で、日本海沿岸のあちこちから水産業専門技術員室に「今年のウニの身入りは非常に悪い」という声が聞こえてきました。特に後志管内のある漁協からは「例年なら20パーセント前後の身の歩留まりがあったのに、今年はその半分の10パーセント位しかなく操業は無理だ」との話すらありました。

  一方、留萌管内の小平や増毛、石狩管内の浜益等では「近年になく草生いが良く、身入りも色もいい」という話です。こうした情報を受けて、専技室では早速、北は稚内、利尻、礼文から、南は津軽海峡の福島までの間にある各地の水産技術普及指導所に連絡をとり、それぞれの担当地区の状況を調査してもらいました。

  調査はエゾバフンウニとキタムラサキウニに分け、それぞれが例年に比べてどうかということを「身入り」「身の色」「年齢構成」「大きさ」「資源動向」「漁獲量」「過去の調査・測定記録」などの項目について「餌料海藻の繁茂」と比べてみました。今回はこの中から因果関係が特に深いと考えられる「身入り」と「餌料海藻の繁茂」の二つの状況についてお話ししたいと思います。

エゾバフンウニ(ガゼ)

  次の図は各地から寄せられた情報を基に「身入り」の状況と「餌料海藻の繁茂状況」を示したものです。
 
  ○は例年より良いところ、△は例年並み、×は例年より悪いところをそれぞれ示していますが、調査地点26カ所のうち、身入りも良く餌もある…3か所、身入りも餌も例年並み…2か所、身入りも餌も悪い…18か所、その他…3か所となっています。
    • キタムラサキウニの「身入り」の状況と「餌料海藻の繁茂状況」

キタムラサキウニ(ノナ)

  その次の図はエゾバフンウニと同様の方法によって取りまとめたものですが、調査点26か所のうち、身入りも良く餌もある…2か所、身入りも餌も例年並み…1か所、身入りも餌も悪い…16か所、その他…1か所となっています。これらのことから、ウニの身入りは餌となる海藻の繁茂状況と深い関係があることが伺われ、「ウニの身入り不良」の原因は「餌料海藻の不足」が大きく影響を及ぼしていることは間違いありませんが、この他には昨年から続いている異常高水温等の問題もあり、これら自然環境とのかかわりがどのように関係しているのかは今後推移を追って解決しなければならないものと考えています。(専技室)
    • キタムラサキウニの「身入り」の状況と「餌料海藻の繁茂状況」

トピックス

コレゴヌスの名称がキタノユキマスに決まる

  先に水産艀化場で募集していた新魚種「コレゴヌス」の名称が「キタノユキマス」に決まりました。ご応募いただいた皆様に心からお礼申し上げます。また、最優秀賞及び優秀賞は応募総数2,502通の中から次の8名の方に贈られます。
  • 最優秀賞(レプリカ贈呈)
    • 北海道札幌市 林 雄志
  • 優秀賞(壁掛けもしくはテレフォンカード進呈)
    • 群馬県新田町 福島 喜代一
    • 兵庫県明石市 坂下 健太郎
    • 北海道音更町 高木 百合
    • 北海道釧路市 三上 望
    • 東京都保谷市 矢次 祐一
    • 北海道札幌市 桐生 芳雄
    • 北海道音更町 三上 崇   (敬称略)

  なお、表彰式は10月7日11時から小樽水族館で行われ、最優秀賞受賞者をお迎えして「キタノユキマス」と「ドナルドソン」の試食会も併せて開催いたします。
(道立水産孵化場)