水産研究本部

試験研究は今 No.48「シシャモの遡上時期の予測について」(1990年11月2日)

試験研究は今 No.48「シシャモの遡上時期の予測について」(1990年11月2日)

Q&A? シシャモの遡上時期はどうやって予測していますか。

シシャモ
  シシャモは、アイヌの神様によって柳の葉からつくられたという言い伝えがある美しい魚で、キュウリウオ科に属し、北海道太平洋沿岸にしか生息しない本道の特産種です。

  生まれてから2年~3年という短期間で成熟し、晩秋に一気に河川に遡上し、川底の河砂利に産卵することが知られています。

  また、産卵後の親魚は、雄は死んでしまいますが、雌は再び川を下って海にもどり、次の年に再び産卵に参加するという生態を持っています。したがって、河川遡上した後も海で漁業を続けることは次の年に産卵する雌を獲ってしまうことになるので、資源に極めて悪影響を及ぼします。

  さてシシャモは、その大部分が10~11月に遡上河川周辺の沿岸に密集してくるところをししゃも桁網漁業によって漁獲されますが、近年その資源は減少しております。

  それに対処するため、孵化放流など人工的な資源増大対策も行われていますがまだまだ量産技術の進歩を待たなければならず、当面は天然資源の保護と産卵河川の保全が重要となっています。このためシシャモの天然資源を管理し永続的に資源を利用するうえで、遡上時期を前もって予測し、産卵親魚を保護することが非常に重要な課題です。
  この遡上時期を予測するため、昭和54年から研究に取り組み、雌シシャモの腹の膨らみぐあい、すなわち卵(生殖腺)の重さが体重の4分の1ぐらいに発達すると遡上することを明らかにしました。

  釧路川においては、雌の成熟度指数(卵の重さ÷体重×1000)と累積日数の関係を用い漁獲物から抽出した標本の成熟度指数の平均が260に達する日を遡上予測日として求める方法で精度の高い結果を得ています。

  この予測日は、漁業者・漁協・支庁・水試による協議の場で、遡上期予測資料として報告され、終漁日が決められることになります。

  右の図は、昨年(平成元年)の釧路川の例ですが、遡上日を11月19日±2日と予測したところ、関係漁協が運営するシシャモ孵化場用の産卵親魚の捕獲状況から、11月17日に遡上が確認され、19日頃が捕獲のピークとなり予測日の推定結果としています。

  また、十勝海域でも同様の方法で漁業者と漁協の努力によりシシャモ資源の保護と漁業管理が行われています。十勝川は釧路川と異なり、10月中・下旬に遡上するいわゆる前期群と、遡上の主群となる後期群とがあり、前期群は継続的に遡上するため主群である後期群の遡上予測は釧路海域と比べ難しい部分もありますが、さらに高い精度をめざして調査を続けています。

  今年度の遡上予測日は、現在測定を行っており、近々報告いたします。
(釧路水試)

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