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さけます・内水面水産試験場

北海道の湖沼・河川と主な漁業対象種

北海道の湖沼には、天然と人造(ダム)湖沼、汽水と淡水湖沼、カルデラと海跡湖沼など様々な形態と成因のものが300余りあります。また、大きさもいろいろで、湖面積(152 km2)が国内3位のサロマ湖、貯水量と最大水深(20.9km2、363m)が国内2位の支笏湖や、温泉で有名な洞爺湖や阿寒湖、国内最大の湛水面積(2,373ha)を有する人造湖である朱鞠内湖などがあります。
一方、北海道の川では、石狩川、天塩川、十勝川などの一級河川が13水系1,129河川、二級河川は230水系467河川、また、準用河川として152水系430河川が指定されております。水量豊かな川から、流程の短い川まで様々な河川があります。

北海道の河川や湖沼での内水面漁業

これらの湖沼や河川では、内水面漁業が営まれております。
内水面漁業権の設定水域など、詳しくは北海道発行の「フィッシングルール2020」をご覧下さい。
北海道の内水面漁業では、ワカサギとシジミが主要な魚種であり、他に、ヒメマス、アユなどがあります。
漁業統計につきましては、以下をご覧下さい。
    • 支笏湖の夏の風景です
      支笏湖の夏の風景
    • 厳冬の網走湖でのワカサギ氷下漁です
      網走湖のワカサギ氷下漁
    • 北海道の水が澄み渡る清き流れの川です
      北海道の渓流
    • 緑豊かな森を流れる北海道の河川です
      緑豊かな森を流れる北海道の川

北海道の川と湖のおもな漁業対象種をご紹介します

ワカサギ  サケ目キュウリウオ科 

ワカサギ成魚の写真
ワカサギ
学名 Hypomesus nipponensis
本来は河川で産卵し仔魚はすぐ降海して海で成長する回遊魚(遡可回遊)です。淡水への適応力が強く、山地の湖など淡水域でも自然繁殖が可能なため、古くからさかんに移殖が行われ、現在では道内を含め全国各地の湖に分布しています。
北海道で漁獲量の多い水域は網走湖・阿寒湖・大沼・塘路湖です。このうち網走湖と塘路湖は自然分布、阿寒湖と大沼は移殖による分布です。北海道では4月上旬から6月上旬に産卵、仔魚は12~38日で孵化し、動物プランクトンを主食として成長します。満1年後には5~15cmとなり成熟して、多くは産卵した後に死亡しますが、小型のものは成熟せず翌年に産卵する場合もあります。
成魚は漁業はむろんのこと、遊漁対象としても重要で「氷上釣り」は各地の冬の観光資源です。
ワカサギの成長は環境に左右されやすく地域や年度によって大きく変動するため、漁獲の安定化のためには資源量や環境要因を継続的に調査することが重要です。

シジミ (ヤマトシジミ) ハマグリ目シジミ科 

シジミ
学名 Corbicula japonica
和名をヤマトシジミといい、サハリンから日本、朝鮮半島の河口や汽水湖の砂礫底に生息します。
北海道のシジミは長命とされており、10齢以上も珍しくありません。雌雄異体で、7~9月の産卵期に卵と精子を水中に放出し受精します。浮遊幼生として約10日間ほど水中を漂い、その後底生生活に移行します。
北海度のおもな漁場は、網走湖、天塩川、石狩川、風連湖などです。
シジミの生息場所は、河口域などで人為的改変を受けやすく、生息環境が悪化し、水域によっては漁獲量が減少し、資源管理や人工種苗放流などの対策が講じられています。

道内で最も多い漁獲量を誇る網走湖のシジミに関する最近の研究をご紹介します。

シシャモ  サケ目キュウリウオ科

鵡川で獲れたシシャモのオス
学名 Spirinchus lanceolatus
河川で産卵し仔魚は海で成長する回遊魚(遡河回遊)で、北海道太平洋岸の10数河川のみに遡上する北海道固有の魚です。
古くからアイヌの人たちに利用されてきましたが、新種として記載されたのは1913年、東北帝国大学農科大学(北海道大学の前身)の疋田豊治博士の報告によります。
分布は渡島の遊楽部川から根室の別寒辺牛川までとされていますが、近年では鵡川より西の河川ではあまり遡上しないようです。 
親魚は10月中旬から11月下旬に遡上して産卵し、仔魚は翌年4月上旬から5月上旬に孵化して海に下ります。
孵化後1年半で10~15cmに成長し、成熟して産卵のため河川に遡上します。
雄は満1歳で成熟して死亡し、一方、雌は産卵後「下りシシャモ」となって降海し翌年もう一度産卵に参加します。
シシャモの漁獲の大部分は遡上期の親魚を海で獲るため漁獲統計上は海産魚の扱いとなりますが、卵で5ヶ月近くを過ごす河川環境の保全はシシャモの資源維持にとって重要な問題です。

ヒメマス  サケ目サケ科

6月に捕獲されたヒメマス
学名 Oncorhynchus nerka
海で漁獲されるベニザケと同じ種で、非常に美味なことで定評があります。
ヒメマスは、ベニザケの陸封型であり、海に回遊せず、一生を淡水で過ごします。北海道ではチップとも呼ばれます。
ヒメマスが国内で自然分布するのは阿寒湖とチミケップ湖で、19世紀末から支笏湖や十和田湖などへ移殖され、各地で重要な漁業対象種となりました。
産卵期は9月下旬~11月上旬で、産卵魚は満2年から4年魚です。

ヒメマスに関する、最近の研究をご紹介します。

アユ  サケ目アユ科

北海道のアユ
学名 Plecoglossus altiveris
河川で産卵、仔魚期は海で過ごし、翌春稚魚が遡上して川で成長する回遊魚(両側回遊)です。日本を代表する魚ですが、北海道はその分布の北限にあたり、多くの文献では日本海側では天塩川以南,太平洋側では鵡川以西とされますが、現在定期的に遡上が見られるのは日本海側では余市川以南,太平洋側では汐泊川以西です。
北海道内では8月下旬から10月上旬に産卵、10~20日で孵化して海に下り、翌年5月中旬から6月下旬に稚魚となって遡上します。
河川では珪藻を主食として急速に成長、8月中旬には15~25cmに達します。
漁業・遊漁ともに河川での友釣りによる漁獲が主体です。
北海道のアユは、生態について不明な部分が多く、今後の研究課題です。

ヤツメウナギ (カワヤツメ) ヤツメウナギ目ヤツメウナギ科

カワヤツメの成魚の写真です
カワヤツメ成魚
学名 Lethenteron japanicum
体は細長いウナギ型ですが、ニホンウナギとは異なる種で、ウロコがなく原始的な魚類とされます。
海で成長し、成熟すると川にのぼり上流の小砂利底で初夏に産卵します。河川生活は3年程度とされ、有機物等を餌料とし川底の泥中に生息して、体長が約15cm以上になると変態し海に降ります。海洋生活期は他の魚類にとりついて、血や筋肉を溶かして吸引します。生活史に不明な点が多い種でもあります。北海道の河川には、他にミツバヤツメ、海と往き来しないシベリアヤツメやスナヤツメなどの別種も生息しますが、形態では判別が難しいです。
カワヤツメはビタミンAの含有量が高く漢方薬や滋養剤として珍重されており、かっては、石狩川や尻別川、後志利別川等を中心に北海道の河川漁業を支え、郷土料理としも有名でした。しかし、ここ数年は漁獲量が激減し、魚価も高騰し貴重な魚となりました。

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