農業研究本部

秋まき小麦種子審査のための休眠打破方法

浅山 聡

道総研農試集報.100,55-63 (2016)

秋まき小麦「きたほなみ」の種子審査に適する休眠打破方法として,過酸化水素水処理と低温湿潤処理についてより効果の高い条件を明らかにし,両方法の利用場面を提示した。濃度1%の過酸化水素水への浸漬による方法において,温度は8~12℃とし,48時間浸漬することで試料の休眠程度にかかわらず高い休眠打破効果が得られた。低温湿潤条件への静置による方法において,口径9cmシャーレに50粒の種子を供試する場合は加水量を4mlとし,5℃で72時間静置することで「きたほなみ」に対して高い休眠打破効果を得られたが,休眠が極深い試料では96時間の処理で僅かに発芽率が高くなる場合があった。両方法を比較すると,休眠の極深い試料では過酸化水素水処理の方が効果が高い場合があった。一方で低温湿潤処理は試薬の準備が不要で操作が容易であった。


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