農業研究本部

北海道で発生したFusarium属菌の花き病害(第2報)-アスター萎凋病-

堀田 治邦,児玉 不二雄

道総研農試集報.101,15-20 (2017)

北海道で栽培されたアスター (Callistephus chnensis (L.) Nees.) で株が黄化・萎凋する病害が発生した。病株の地際部茎部にも褐変が認められた。これら病株からFusarium 属菌が高頻度で分離された。病原性試験を実施し,分離菌を接種した土壌でアスタ-2品種を栽培したところ,2品種とも葉の黄化,維管束の褐変が見られ,やがて萎凋・枯死した。発病株からFusarium 属菌が再分離された。本病菌のPDA培地における菌叢は白色または淡桃色を示した。大型分生子は主に3隔壁,中短長,直状~先端部でやや曲がる。小型分生子は楕円形,短い分生子柄に擬頭状に形成された。本菌のDNAをFusarium oxysporumの特異検出プライマーでPCRを行ったところ,想定される増幅バンドが検出された。以上から,本菌をFusarium oxysporum Schlechtendalと同定した。さらに18科37植物に接種を行い,分化型を検討したところ,アスターに強い病原性とキクに弱い病原性を示し,その他植物に病原性は認められなかったことから,分化型はf.sp. callistephiiに該当した。以上から,北海道においてFusarium oxysporum Schlechtendal f.sp. callistephi W.C. Snyder & H.N. Hansenによるアスター萎凋病の初発生を確認した。


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