農業研究本部

MASによりシストセンチュウ・レース1抵抗性を導入したダイズ新品種「ユキホマレR」の育成

鈴木 千賀,三好 智明,白井 滋久,湯本 節三,田中 義則,萩原 誠司,山口 直矢,黒崎 英樹,山崎 敬之,大西 志全

道総研農試集報.101,33-47 (2017)

「ユキホマレR」は,北海道立総合研究機構 十勝農業試験場において,早生,耐冷性,難裂莢性およびダイズシストセンチュウ・レース3抵抗性の原品種「ユキホマレ」に戻し交配育種法によりシストセンチュウ・レース1抵抗性を導入した置換品種であり,2010年に北海道の優良品種に認定され,2011年に「ユキホマレR」として品種登録された。「ユキホマレR」は,「ユキホマレ」を反復親,「PI84751」由来のシストセンチュウ・レース1・3抵抗性の中間母本「十系871号」を供与親として,3回の戻し交配と同抵抗性遺伝子座(Rhg4,Rhg1)のDNAマーカー選抜(Maker Assisted Selection 以下MASと表記)により育成したレース1・3抵抗性の新品種である。本品種は,拡大傾向にあるレース1優占圃場への被害対策として,「ユキホマレ」に代えて安定栽培が可能である。さらに,その他の農業形質および加工適性は「ユキホマレ」と実質的に同等であり,基幹品種「ユキホマレ」の優れた栽培特性と市場性を継承していることから,円滑な品種の切り替えが可能となる。これにより,北海道産大豆の安定生産・供給に寄与することが期待される。


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