農業研究本部

ダイズの子実カドミウム濃度におよぼす品種および石灰質資材施用の影響

細淵 幸雄

道総研農試集報.102,53-59 (2018)

北海道で栽培されるダイズ品種の中で,「いわいくろ」とその母親である「晩生光黒」の子実カドミウム濃度が高かった。「いわいくろ」は,「トヨムスメ」より根のカドミウム濃度が低く,茎葉の吸収量が多かったことから,地上部にカドミウムが移行しやすい品種と考えられた。石灰質資材として苦土炭酸カルシウムと消石灰を播種前に施用すると,前者は開花期までに後者は播種時に目標pHに達したが,両区とも子実カドミウム濃度はほぼ同等であり無施用区より低減した。カドミウム濃度の高い土壌から,低い土壌への植え替え試験を行うことにより,開花期から子実肥大期の間に吸収したカドミウムが,子実に移行することを明らかにした。このことから,開花期までに目標pHに達するように石灰質資材を施用すると,子実カドミウム濃度を効果的に低減できると考えられた。


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