農業研究本部

大西 志全 他:ダイズ新品種「ゆめのつる」の育成

ダイズ新品種「ゆめのつる」の育成

大西志全 鴻坂扶美子 藤田正平 田中義則 三好智明 越智弘明 手塚光明 白井和栄 萩原誠司

道総研農試集報.97,1-14 (2013)

 「ゆめのつる」は,北海道立総合研究機構中央農業試験場によって,「ユウヅル」に代わる道南地方向けの白目極大粒品種として育成された。ダイズシストセンチュウ・レース3に抵抗性であり,「ユウヅル」に比べて裂皮の発生が少なく外観品質に優れる。「ユウヅル」と同等の成熟期であるが,同品種より多収で耐倒伏性もやや優れる。また,粒大および粒形は「ユウヅル」に近く,煮豆等の加工適性は同品種並に優れる。
 「ゆめのつる」は「ユウヅル」へのダイズシストセンチュウ抵抗性の付与と,同品種に高頻度で発生する裂皮の改善を目指して2001年に「中交0708-2(F6)」を母に,「十系885号」を父とした交配後代より選抜された。F3世代の同交雑集団を,ダイズシストセンチュウ抵抗性検定圃(旧早来町)に供試し,抵抗性個体を選抜した。F4 ~F5世代では,北海道立総合研究機構道南農業試験場で成熟期,耐倒伏性,粒大,裂皮発生の多少により選抜し,育成された。2011年に北海道の優良品種に認定され,今後「ユウヅル」に替えて普及することで,道南地方における“つるの子”銘柄大豆の良質安定生産に貢献することが期待される。


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