農業研究本部

粕谷 雅志 他:水稲糯新品種「しろくまもち」の育成

水稲糯新品種「しろくまもち」の育成

粕谷雅志、佐藤毅、沼尾吉則、木下雅文、吉村徹、佐々木忠雄、品田博史、尾﨑洋人、木内均、相川宗嚴、前川利彦、平山裕治

道総研農試集報.97,15-28 (2013)

 水稲糯「しろくまもち」は,北海道立上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で育成された餅硬化性が高く耐冷性が優れる早生の糯品種である。 2000年に「北海糯290号」を母とし「上育438号」(後の「大地の星」)を父とした交配に由来し,その雑種第1代の葯培養により育成された。2007年に北海道の優良品種に認定され,同年農林水産省に「水稲農林糯427号」として登録された。「はくちょうもち」と対比した主な特性は以下の通り。出穂期は早い“早生の早”で,成熟期は並の“早生の中”である。稈長は並,穂長は短く,穂数は多く,草型は同じ“穂数型”である。穂ばらみ期の障害型耐冷性は“極強”と優り,いもち病圃場抵抗性は“やや弱”と劣る。紅変米の発生はやや多い。玄米収量はやや劣り,玄米品質は同等である。つき餅の食味はやや優る。餅硬化性は高く,東北産「ヒメノモチ」や九州産「ヒヨクモチ」に比べて並からやや高い。本品種を「はくちょうもち」の一部に替えて作付けすることにより,北海道糯米の新たな需要拡大と安定生産に寄与できる。


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