アズキ新品種「ほまれ大納言」の育成

田澤　暁子，佐藤　　仁，島田　尚典，青山　　聡，藤田　正平，村田　吉平，松川　勲，長谷川尚輝，

道総研農試集報．99，1-11 (2015)

　アズキ「ほまれ大納言」は，1997年に北海道立十勝農業試験場(農林水産省小豆育種指定試験地)において， 中の晩，極大粒，落葉病・萎凋病抵抗性の育成系統「十系701号」を母，晩の早，大粒，茎疫病（レース１， ３）抵抗性の育成系統「十系697号」を父として人工交配した雑種後代から育成した。本品種は「十育154号」 の地方番号により各種試験に供試し，2008年に北海道の優良品種に認定されるとともに，2010年に農林水 産省の新品種として「ほまれ大納言」と命名登録された。 　本品種は，アズキ落葉病，萎凋病に加えて，大納言小豆としては初めて茎疫病（レース１，３）に抵抗性 を持つ，複合病害抵抗性品種である。「アカネダイナゴン」と比較すると，百粒重は平均で12％重く，普及 見込み地帯では大納言小豆規格である5.5mm篩上の比率が高い。実需者による製品試作試験では風味が高 く評価され，「アカネダイナゴン」，「ほくと大納言」以上の加工適性が期待できる。本品種を道央以南の大 納言小豆品種栽培地帯において，「ほくと大納言」の全てと「アカネダイナゴン」の一部に置き換えて普及 することにより，大粒で良質な北海道産大納言小豆の安定供給が可能となる。

→ 全文（PDF）