農業研究本部

ヤマノイモえそモザイクウイルスの大腸菌発現外被タンパク質に対する抗体作製とDASELISAによる検出

堀田治邦,佐々木純,竹内徹

道総研農試集報.106,39-47 (2022)

 ヤマノイモえそモザイクウイルス(CYNMV)の外被タンパク質(CP)を大腸菌で発現させ,これに対する抗体を作製し,DAS-ELISA への適用を検討した。RT-PCR によって増幅させたCP 遺伝子をpMAL-c2X 発現ベクター,またはpColdⅠ発現ベクターにクローニングし,大腸菌でCYNMV-CP を発現させた。これを家兎に免疫して抗血清を得た。それぞれの発現ベクター由来の抗血清から抗体を精製し,DAS-ELISA への適用性を試みた。磨砕バッファーとしてPBST バッファーに1%スキムミルクおよび2%Tween20 を添加し,検定葉の凍結(-15℃以下,6 時間以上)を組合せることで,吸光値が上昇し,実用的な検定が可能となった。この方法で作製抗体の検出限界を評価したところ,pMAL 抗体,pColdR1 抗体ともに罹病葉の1.8×102 倍希釈まで検出された。一般ほ場から採取したCYNMV サンプルを用いてDAS-ELISA を行ったところ,高率に陽性株が検出され,抗体の有効性が実証された。


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