農業研究本部

無加温栽培した冬どりボーレコールの生育と養分吸収特性

岡元 英樹,古山 真一,地子 立

道総研農試集報.108,9-18 (2024)
 

 冬どり葉菜類の無加温ハウス栽培技術を普及させるため,栽培に適した品目の拡大を検討中である。ボーレコールは冬どり栽培に適し,今後の普及が期待される。そこで本報では冬どりボーレコールの生育と養分吸収を経時的に調査し,可販部各部位(主茎,葉身,葉柄)および黄化・枯死葉の新鮮重,乾物重,各養分を測定した。その結果,可販部にお
いて新鮮重の増加は11 月上旬(日平均気温10℃前後)まで,多くの無機養分の吸収は12 月上旬(同5℃前後)までにほぼ止まるが,それ以降も乾物重は12 月下旬(同0℃前後)まで増加した。養分吸収特性は養分ごとに異なり,窒素,リン酸は含有率の減少も緩やかで全体の吸収量が増加し続けるのに対し,カリ,石灰,苦土は低温遭遇後の含有率低下が速やかで,黄化・枯死葉への分配が多かった。また,ボーレコールは無機塩ではなく,糖類などを集積して浸透圧を高めることによって耐寒性を獲得していると考えられた。
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