農業研究本部

薬液散布分布からみた農薬散布用ドローンによる病害虫防除の懸念点

東岱孝司,丸山麻理弥

道総研農試集報.109,15-21 (2025)
 

 農薬散布用ドローンは XAG P-30 を供試した。飛行高度 2.5m( 散布幅は4m)および飛行速度10.8km/h での自動飛行ならびに液滴径150μm で薬液を自動散布した。ドローン散布の試験を行う際は,3.2L/10a を散布する場 合, 散布水量を安定させるために3–6m の助走距離を要した。また, ドリフトを考慮して隣接する試験区との間に散布幅の1/2 から散布幅分の除外区を設ける必要があると考えられた。機体中心の下方は散布幅の両端の7–10 倍の落下水量があり, その違いにより散布幅内で防除効果が異なる懸念がある。テンサイのヨトウガおよびアズキのアズキノメイガに対するドローン散布による防除効果はスプレーヤ散布と比較して同等からやや優った。コムギ赤さび病に対してドローン散布は止葉では防除効果が得られたが,スプレーヤ散布と比較すると劣り,止葉直下葉では効果がさらに劣った。テンサイ褐斑病に対してドローン散布はスプレーヤ散布よりも防除効果が劣った。
 


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