農業研究本部

施設花き栽培における硝酸態窒素の流出と環境負荷の軽減対策

大村 邦男、坂本 宣崇

北海道立農試集報.79,59-66 (2000)

 カーネーション施設栽培における窒素施肥量は植物体の吸収量を大きく上回っていた。作土のNo3一N含量は施肥量に対応しており、NO3一Nの濃度勾配は灌水と蒸散に伴う変動を繰り返した。暗渠から流出するN03-Nは灌水管理による影響が大きく、20mm以上で流出が始まり、土壌からの流出割合は20~30mmで0.2%未満、50mmでは0.5%を上回った。暗渠排水のNO3一N濃度は高いが、流下過程で希釈されるため、周辺水域に及ぼす影響は判然としなかった。カーネーション定植直後の生育は土壌中N03-N含量が10mg/100gで良好となり、生育量及び葉色は20mg/100gでピークに達する。窒素の過剰施用はカーネーションの生産性と品質低下を招く。カーネーション栽培における環境負荷軽減対策として、土壌診断に基づく施肥と一回の灌水量を20mm以下に抑えることが基本と考えられた。


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