農業研究本部

イチゴ新品種「きたえくぼ」の育成

今野 寛、稲川 裕、川岸 康司、澤田 一夫、加藤 俊介、塩沢 耕二、立川 さやか

北海道立農試集報.81,1-10 (2001)

 イチゴ「きたえくぼ」は「宝交早生」並の良食味で,「宝交早生」より日持ち性が良く,多収で果実品質に優れる無加温半促成用品種を目標として育成された。道南農試系統「59交-13-37」(「Aiko×盛岡19号」)に「麗紅」を交配し,1990年から「道南8号」の系統名で各種試験を実施した。1993年に優良品種に認定され,1995年に品種登録を完了した。草姿はやや立性で草勢は強く,ランナーの発生は多いが,休眠覚醒に必要な低温時間は長い。平均1果重は「宝交早生」よりやや重く,果皮色は鮮紅色,果肉色は淡橙色,果形は円錐形で光沢がある。「宝交早生」より糖度,酸度は高く,果皮は強く,果肉はやや硬く,日持ち性が良い。中心空洞は大きい。萎黄病,萎凋病,うどんこ病には強いが,灰色かび病には弱い。収穫始めは「宝交早生」より7~10日遅く,無加温半促成のやや遅い作型に適する。


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