イチゴ新品種「けんたろう」の育成
川岸 康司、加藤 俊介、生方 雅男、阿部 珠代、立川さやか、稲川 裕、福川 英司
北海道立農試集報.81,11-20 (2001)
イチゴ「けんたろう」は「きたえくぼ」並の品質を持ち,先白果の発生がない,「宝交早生」並の早生品種を目標として育成された。「きたえくぼ」に「とよのか」を交配し,1996年から「道南26号」の系統名で各種試験を実施した。2000年に優良品種に認定され,品種登録の出願が受理された。草姿は中間型で,草勢は「きたえくぼ」より弱いが,「宝交早生」より強い。ランナーの発生は「きたえくぼ」よりやや早く,ランナー生産に問題はない。休眠覚醒に必要な低温時間は1000時間程度とやや長い。平均1果重は「きたえくぼ」よりやや重く,果皮色は鮮紅色,果肉色は淡橙色,果形は円錐形で光沢がある。糖度は「きたえくぼ」並で酸度は「きたえくぼ」よりやや低く,糖酸比は「きたえくぼ」より高い。ビタミンC含量は「きたえくぼ」並である。果実硬度は「きたえくぼ」より硬く,日持ち性は「きたえくぼ」とほぼ同等である。中心空洞は「きたえくぼ」より小さい。萎黄病,うどんこ病に強く,萎凋病にもやや強い。灰色かび病は「きたえくぼ」よりやや強い。収穫始めは「宝交早生」と同等か2日程度遅い。
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