酒造好適米新品種「吟風」の育成
丹野 久、吉村 徹、本間 昭、前田 博、田縁 勝洋、相川 宗嚴、田中 一生、佐々木忠雄、太田 早苗、沼尾 吉則、佐々木一男 和田 定、鴻坂扶美子
北海道立農試集報.82,1-10 (2002)
「吟風」は1990年に北海道立中央農業試験場で交配した「(八反錦2号×上育404号)F1×きらら397」の雑種後代から育成され,2000年3月北海道の奨励品種として採用された(系統名:空育158号)。出穂期,成熟期とも「きらら397」「初雫」と同じ熟期の中生の早である。北海道で初めての心白を有する酒造好適米品種であり,醸造作業工程での扱いやすさなどの酒造適性が従来の北海道品種に比べ高い。いもち病圃場抵抗性および耐倒伏性は両品種に優り,千粒重は「きらら397」より重く「初雫」並みで,収量性は両品種並みと高い。障害型耐冷性は穂ばらみ期が「初雫」に劣り,「きらら397」にやや劣る。開花期耐冷性も両品種に劣る。留萌南部,上川中央部,空知中北部の低蛋白米安定生産が可能な良地帯に,「きらら397」の一部およびその他の品種の一部に替えて栽培し,酒造用原料米の品質向上を図る。
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