農業研究本部

Albugo属菌によるワサビダイコン白さび病(新称)

萩田 孝志、岩間 清剛、長沢 栄史

北海道立農試集報.82,83-88 (2002)

 ワサビダイコン(Armoracia rusticana Gaertn., Mey & Scherb)は北海道東部の網走市,斜里町などで古くから栽培されている。ワサビダイコンの葉に表面が赤紫色,その裏面には白さび病特有の白色の発疱を呈した不整形の病斑を形成する病害が古くから発生していた。葉裏の病斑の表層下に無色,単胞,こん棒状の分生子柄を形成し,その先端には分生子(胞子のう)が連鎖状に着生する。分生子は大きさ長径18.4±2.6μm,短径17.0±3.0μm,膜は等厚,無色,球形~長円形であった。罹病組織中に卵胞子は見つかっていない。寄主範囲を調べるため接種した6科18種の植物のうち,ワサビダイコンのみ発病し,自然発生と同様の病徴を再現した。以上のことから,本病原菌をAlbugo属と同定し,本病害はわが国で未記載なので,病名をワサビダイコン白さび病(White rust of horseradish)と呼称することを提案する。 1999年の調査結果から,本病は北海道東部のワサビダイコン栽培地帯では7月下旬頃から発生した後,8月以降にまん延し発病盛期は9月中旬であった。マンゼブ・メタラキシル水和剤を初発時から2~3回散布すると,高い防除効果が得られることを明らかにした。


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