農業研究本部

秋まきコムギ新品種「きたもえ」の育成

柳沢 朗、谷藤 健、荒木 和哉、天野 洋一、三上 浩輝、田引 正、前野 眞司、吉村 康弘、中道 浩司、佐々木 宏、牧田 道夫、土屋 俊雄

北海道立農試集報.82,11-20 (2002)

 秋まきコムギ「きたもえ」は,1985年に北海道立北見農業試験場作物研究部小麦科(農林水産省小麦育種指定試験地)において耐穂発芽性に優れた,やや早生,良質,多収品種の育成を目的に「59045」(後の「ホクシン」)を母,「北系1354」を父として人工交配を行った雑種後代から育成された。2001年2月に「小麦農林149号」として農林登録され,「きたもえ」と命名された。  本品種は,成熟期は「ホクシン」より2日遅く,「チホクコムギ」より2日早いやや早生種である。稈長は「ホクシン」と同程度である。子実重は「ホクシン」と同程度で,各種雪腐病抵抗性,赤さび病,うどんこ病抵抗性は「ホクシン」と同程度であるが,赤かび病抵抗性は「ホクシン」よりやや優れ,コムギ縞萎縮病抵抗性および耐穂発芽性が優れる。製めん適性はめん色が優れるが,粘弾性はやや劣り,総点は「ホクシン」並である。全道のコムギ縞萎縮病発生地帯に普及を図ることにより同病の発生地帯での収量および安定性の向上が期待される。


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